太田 忠司 歪んだ素描
「求む、バカな人」・・・この珍妙な求広告に魅かれて涼子はある日、一宮探偵事務所の門を叩いた。それは五年間続けてきたそこそこ楽しいけれど満たされないOL生活に別れを告げた直後のことだった。こうして自分にとって大切な何かを探すために、彼女は人生を再スタートさせる。罪を犯さざるを得なかった人間達の悲劇・・・。屈折した善意が他人を追いつめ果ては殺人者にしてしまう???涼子が人間の心に隠された深い悲しみや情念を見つめながら成長していく。
大信田麗 フェイク!
売れない中堅ホラー作家はなぜ失踪し、未完の遺作に謎のメッセージを遺したのか? 新興出版社、幻泳堂の辣腕編集長は、話題づくりに作品を強引に完成させて、大々的に売り出そうと目論むが、老舗・文芸團團の宿敵の策略で、思わぬ苦戦を余儀なくされる。 一方、作家、妻、秘書が陥った想像を絶する愛憎の渦中に巻き込まれた女性ライターは、冷酷なそれぞれの出版社に絶望し、二重スパイになることを固く決意するが・・・・・・。
大下宇陀児 石の下の記録
代議士の息子・藤井有吉は、敗戦後の混乱の中で悪友たちと刹那的な享楽に溺れていた。遊ぶカネ欲しさに仲間たちは強盗を犯し、有吉は父親への賄賂の一部を失敬する。有吉が罪悪感に悩んでいるうちに父親が自宅で惨殺され、それぞれが転落への道を辿る。残酷な青春への鎮魂曲。