読書メモXI 広い世代に知られているロシア民話が原典の絵本 | 読書メモと自己ログとときどきその他

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読んだ本へのコメントなどを気ままに述べるブログです。ほとんど自分の読書記録のようなものになるかと思いますが、他者への紹介にもなるようにしっかりと表現していきたいと考えております。

こんばんは!

本日はかなり定番の絵本をご紹介していきます。『おおきなかぶ』です!爆笑

まず,タイトルにしましたが『おおきなかぶ』ってロシア民話が原典なのですね! 
自白すると,初めてちゃんと知りました(+_+)何回か読んだはずなのに…

ちなみに私の読んだ本では,A. トルストイ再話となっています。

このトルストイは『戦争と平和』や『アンナ・カレーニナ』の作者とは別人です。少しだけ調べてみたのですが,学生をはじめ広い世代に人気のある(?) Wikipediaによると,トルストイという作家はたくさんいるみたいですね!これも新しい発見です。

『おおきなかぶ』は多くの人に認知されている作品なのかなと思います。
自分も小さい頃に読んだ記憶が薄っすらとあり,あと小学校の授業でもやったような気がします。周りの情報なので,すべてそうであるというわけではないかと思いますが,今も小学校低学年で扱われている題材のようです。

あらすじを紹介しておきます。ほぼネタバレになります。しかし,この本は内容自体というよりも文章表現に価値があると思っているので,多少は仕方ない(と自己防衛をしてしまいました)。未読の方はお気を付けください。

おじいさんがかぶを植えて,多く育つように言葉をかけました。すると,元気のよい大きなかぶができました! しかし,おじいさん一人の力ではかぶを地面から引き抜くことができません。おじいさんはおばあさんを呼びますが,2人の力を合わせてもかぶは抜けません。孫,イヌ,ネコ,ネズミとつぎつぎに新しい引き役が登場し,かぶは何とか抜けました!
(あらすじ終わり)


この絵本は読み聞かせたり音読したりするときはリズム(韻)をしっかりとるべきなのだろうなと思います。おそらく子どもは,内容のことよりも「うんとこしょ どっこいしょ (ここの言葉は場面「それでも」,「まだまだ」などによって異なる)かぶはぬけません」の繰り返しの文章構造に興味をもつのだろうなと感じます。
小学校では,どういった形でこのお話は扱われているのでしょうか。私はそういうことに全く詳しくないですし,自分自身がたぶん小学校で習ったけれども忘れてしまいました。まあ自分の頃の教育とは変わっているでしょうから,扱う題材が同じでも相違点はあろうかと思います。やはりみんなで音読とかするのでしょうか(最近は情勢的に厳しそうですが)。詳しい方いらっしゃいましたら教えてください。


少し調べてみると,『おおきなかぶ』の作品研究などの記事をいくつか見つけました。当然あるのだろうと予想はしていましたが,文学研究もなされているものですね。私はそういったことには今まで縁がなかったのですが,ただ読むだけでなく作品を解釈するとか訳出を比較するとか色々されているみたいです!
今回は本それ自体より本の周辺情報から色々な発見があります。

ちなみに,加古(2018)によると,ある大学生を対象にした研究において,『おおきなかぶ』を知らないと答えた学生は0%のようです。対象が幼児教育専攻ということは考慮すべき事項ですが,やはり広い世代に認知されている絵本なのですね。

上の論文では,ほかにもいろいろと作品の比較研究や作品の影響などを考察しています。ネット上でpdfがすぐに見られます(タイトルなどの情報を最後に記載しておきます)。


作品に関しては,やはり大人になって読むと,かぶを引くのを助けに来る順番が結構重要な要素になっているのだろうなと思います。途中から動物が出てきますし,最後はネズミです。しかも,ネズミがいなかったときは抜けなかったのに,ネズミが来てカブが抜けるというのはやはり意図があると想像してしまいます。月並みな言い方をすれば,小さい力でも全体の役に立つ存在であるということなのでしょう。
ただし,(この解釈が合っているかはさておき)それが子どもに伝わるかどうかはわからないところですね。個人的には,絵本に書かれている教訓のようなものは,伝わるに越したことはないが,文章表現や場面に興味を持って子どもが見るように作られていればそれで問題ないかなと思っています
自分も小説や新書を読んで,登場人物の心情の変化とか筆者の主張とかを完全に読み取ることができるのかといわれるとおそらく無理だと思います。しかし,自分の興味を持つような要素があれば,よくわからなくても読み進めてしまいます。
それと同じで,まずは何かのきっかけで子どもに興味を持たせることが絵本でも大切だと考えています。



この本はよくご存じの方が多いので,新しい発見はないかもしれませんが,初めて読んだ頃を思い出してみるのもよいかと思います。

それでは,本日もありがとうございました!!


参考文献
加古有子(2018) 教科書・絵本・記憶のなかの「おおきなかぶ」研究 ,    愛知教育大学大学院国語研究. 2018, 26, p. 35-50