7/15は日本全国で漁の一斉休業がありました。


19歳から食に携わる職業について丸13年間、こんなことは初めての経験です。


魚の仕入れにいささかの不安をかんじていましてが案の定でした。


休漁明けの今日、16日もその影響は続いていました。


ついには常連のお客様から「さすがに魚の品数が少ないな」とか、「今日はどうせろくな魚が入ってないんだろ」

とか言われてしまいました。


複雑な心境です・・・



この昨今の原油高騰に伴うガソリンの値上げは私たちの生活に大きな変化をもたらしました。

豊かになりすぎた、石油に頼りすぎたなどの声が聞こえてきます。


私たちの仕事は美味しい料理、雰囲気を提供して少しでもお客様によろこんでいただくものです。

そのためには美味しい食材選びも大変重要です。


豊かになりすぎたこの時代。簡単に全国の食材が一年中安定して手に入ります。それはありがたいことです。

しかし便利であることの反面、自然の摂理をねじまげていることにもなります。


私の師匠、上野修三氏もそのことには嘆いておられました。

「旬を知れ、その次期に一番美味しいもの、食べ方を学べ。これからの料理人はその目利きができるようにならなければならない」とお教えいただきました。



まぐろが食べられなくなるのならば食べなければいいと私は思います。

魚はまぐろだけではないんですから。それに日本は島国です。魚を美味しく食べる技術を持っています。

一年中ある形のよい、きれいな野菜でなくとも季節ごとの今一番美味しい野菜はいくらでもあります。

多少不恰好でもいいじゃないですか。安全で、美味しければこんないいことはありません。


今回の漁師さんたちの気持ちはなんとなくわかるつもりです。

仲買人に自分たちのとってきた魚を安くたたかれてしまう。ガソリン代の値上げでその値段ではやっていけない。

しかし仲買人もこれ以上値段を上げれば私たち消費者が買ってくれない。


悪循環です。



今回の一斉休漁はただ単にガソリンの値上げによるものだけだとは言い切れないのです。


私たちもよく考えなければいけないことなのかもしれません。