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僕たちは、
出会ったものにつくられる。


ジャパンカップ
11月27日(日)
東京競馬場
芝 2400M


町の再開発で、「珈琲サボ」は取り壊されることになった。
ちょうどサボの仲間たちが、散りぢりになろうとしていた頃だ。
皆でつくる自主映画も、もう続けられない。
お別れ会は競馬場で、と決めたのは誰だったか。
九八年の、強豪だらけの
ジャパンカップ。


スタートの瞬間を、ビデオカメラのファインダーでみた。
僕は自分の賭けたエルコンドルパサーにまずフォーカスし、それから皆の顔にカメラを向けた。
マスターは沖縄に帰る。
藤原さんはシンガポールへ転勤だ。
リエちゃんは仙台へお嫁に行く。
僕を映画づくりに誘った矢尾君は、行方がわからない。町は空っぽになる。
僕はひとりでどこへ向かえばいいだろう。


直線で三頭の日本馬が抜け出した。
スペシャルウィーク、
エアグルーヴ、
そして先端に、いや、頂点にエルコンドルパサーだ。
そのままゴールに突き刺さった。
大歓声のなか、カメラのマイクが藤原さんの声をひろった。
「強いやつには強い相手がいたわけだ」
そうだ。
エルコンドルパサーが名馬なのは、
エアグルーヴが、スペシャルウィークが、いたからだ。
あのグラスワンダーや、
この世を去ったサイレンススズカと、かつて走れたからだ。
出会いは残ってゆく。
「エルコンはフランス行きそうだね」リエちゃんが言った。
この馬なら海外でも負けないと僕は思う。


未知へ向かうとき僕たちは、そこにいない誰かとの共同作業で進むのだ。


ひとりで最初からやってみよう、と思った。
姿を変える町に残って。
矢尾君に借りたままのこのカメラで。
あたらしい、僕の、映画をつくろう。
なんて決意も知らずに、
仲間たちはすっかり酔っ払っていた。