貴方と初めて出会った日を私は鮮明に覚えている。出会ったと言うより初めて見た日と言えばいいのか。貴方はデパートの売り場を歩いていた。50メートル先の貴方に胸が高鳴った。ただ貴方は歩いていてショーウインドを覗くためにふと屈んだだけ。それなのに、胸が熱くなった。
貴方はズボンを買う為に私の働いている売り場に来た。私はドキドキしていたのかもしれないが、素敵なお客様ぐらいだったと思う。初めて見た時ほどの印象はない。
お買い上げでレジに移動した時、年下の先輩が寄って来た。彼女の知り合いだった。
彼は、奥さんを亡くし息子二人がおり、親と同居していた。彼は29歳、息子は4才と2才。
私は32才、離婚して9才と5才の娘。親と同居。
年下で先輩で友人の彼女に冗談混じりに、私たちお似合いじゃない?と言っていた。胸のドキドキの話はしていない。

ステップファミリーの波乱の物語が始まる出会いだった。