昔買った鍼灸の本を眺めていたら、金の時代に書かれた「鍼経指南」という書に、「一つのツボを選び抜け」という記述が有るとされていた。


私が行っている手法も、一回の施術につき一種類のツボのみを選ぶ。

主に脊椎の両側にある背兪穴をとるので、実際には「二つのツボ」を使うことになるが。


いささか融通の利かない手法だと思っていたが、少し安心した。

一つのツボしか使わないために、持続的な効果が得られているのだとも思っている。



先日、腰痛と胃の不調を訴える方がおいでになった。肉を食べると下痢をするのだとおっしゃる。


「腰痛と胃の不調とどっちが辛いですか?」と聞くと、「やっぱり腰痛ですよね。」とおっしゃる。

背中を眺めてみるとやはり腰痛のツボの異変が強く出ているようだった。


「肉を食べて下痢するってことは・・膵臓が不調で上手く消化されないんじゃないですかね?」などと言って、更に背中を触ってみると、胸椎11番に捻転があり周囲に硬い所があった。一番近いツボは脾兪で膵臓との関連も深い。


いつものように、一組のツボのみ選ぼうかとも思ったが、脾兪を軽く調整してから腰痛の治療をすることにした。


後日家族がみえて、「先生は何でも治せるんですね?あれで夫の胃の不調は治っちゃったんです。」と仰る。

「とんでもない。一回で治まったのはたまたまです。ただ、効果があるのは確かですけどね。」と言った。


痛み以外の治療ができるというのは相当に意外なことのようだった。