藤沢周平の「海鳴り」を読みました。これは武家物ではなく、町人物、人情物の長編です。藤沢周平の作品は、どちらかというと長編より短編が多いです。また町人物は少なく、ほとんどが武家物なので、「海鳴り」は藤沢作品の中では若干珍しいタイプの小説と言えるでしょう。
そのためか、最初のうちは「これが藤沢周平か、珍しいなあ」という思いで読み進めていました。また「恋愛物」としての要素も他の作品には見られないほど色濃く出ていたので、心の中で「へぇ~」と思いながらちびちびと読んでいました。ところが、読み進むにつれていつの間にか珍しさは忘れ、完全に話にのめり込んでしまったのは、やはり作品にものすごい求心力があるからでしょう。何を書いても、決して読者を落胆させない作家だということを、あらためて認識させられました。
途中の、いわゆる「濡れ場」を描いた場面も、妻や夫のある男女が、越えてはならぬ一線を越えてしまう時の心の動き(と体の動き)を、ものすごく深く的確に描いていると思います。私なんか、何百回不倫したって、こんな文章絶対書けません!そしてあのラスト!藤沢周平は、この作品をアンハッピーエンドにするつもりで書いていたそうですが、途中でどうしてもそれがつらくなり、不安は残るとしても、一応のハッピーエンドに変更したのだそうです。作品の途中は哀しく行き場のない悲壮感が漂っていたので、このラストは意外でした。曇天だった空の雲間から、一筋やっと光がさして来たような、美しいラスト。素晴らしいです。
そのためか、最初のうちは「これが藤沢周平か、珍しいなあ」という思いで読み進めていました。また「恋愛物」としての要素も他の作品には見られないほど色濃く出ていたので、心の中で「へぇ~」と思いながらちびちびと読んでいました。ところが、読み進むにつれていつの間にか珍しさは忘れ、完全に話にのめり込んでしまったのは、やはり作品にものすごい求心力があるからでしょう。何を書いても、決して読者を落胆させない作家だということを、あらためて認識させられました。
途中の、いわゆる「濡れ場」を描いた場面も、妻や夫のある男女が、越えてはならぬ一線を越えてしまう時の心の動き(と体の動き)を、ものすごく深く的確に描いていると思います。私なんか、何百回不倫したって、こんな文章絶対書けません!そしてあのラスト!藤沢周平は、この作品をアンハッピーエンドにするつもりで書いていたそうですが、途中でどうしてもそれがつらくなり、不安は残るとしても、一応のハッピーエンドに変更したのだそうです。作品の途中は哀しく行き場のない悲壮感が漂っていたので、このラストは意外でした。曇天だった空の雲間から、一筋やっと光がさして来たような、美しいラスト。素晴らしいです。
