居なくなって一年が経った。
ペロンチョなおうじろう。

後から思うと
そうなのかって後悔しきり。

昨年8月27日。
オイラは朝から歯医者に行ったり
銀行、郵便局、お買い物と
なにかと出たり入ったり。
なのに、毎回玄関でおうじろうが待っていた。
ンなことは珍しかった。
いつもリビングで眠っているから。
そりゃぁたまたま起きてたら
出迎えてくれることもあったけど。

ご飯も普通に食べるし
ウンチも普通。
特に変わった様子はなかったと思うが
元気はなかった。
毎日暑いから、って思ってた。

心臓病は突然来る。
一つ一つの経験で
ニャンコワンコの病気に敏感になるものだけど
オイラはニャンコと暮らすのは
おうじろうで2人目。
突然くる死の恐怖は全く初めて。
オイラの用事でバタバタしてたその日の夜、
おうじろうは急にドタバタと苦しみ出した。
鬼の形相でよだれを垂れ流しバタバタ、
のたうちまわる。
夜9時過ぎ。大慌てで病院へ。
用意をしてたら
苦しんでいたおうじろう、
ハッとしてニャッニャッって言い始める。
そう、行かない!病院へは行かない!
そう言い張る。
病院へ向かう車の中でも
苦しいはずなのに
キャリーバッグの蓋を頭突きで
開けようとする。
行きたくないと抵抗する。

今だからわかる。
その時はわからない。
その日が最期だと
おうじろうは感じていたのだ。
そして後悔。
あの日なぜずっと
そばにいてやれなかったのか、と。
のたうちまわるおうじろうを
病院へ連れていったことにもちろん後悔はない。
あの苦しみ方は相当なものだ。
野良猫時代、
4年間背骨が見えるほどの傷を抱えて
絶対痛いはずだし苦しいはずなのに
普通にご飯食べて普通に歩いてた。
物置の上だって登ってた。
やばいと思うその日まで
うちに入ってくる時まで
何食わぬ顔で痛みに耐えていたおうじろうが
あれだけ苦しみのたうちまわっているのに
そのまま息を引き取るまで
見守ることなどあり得ない。
もちろんその時、おうじろうが亡くなるなんて
全く頭になかった。
病院で後ろ足の動脈が
血栓で詰まって立てなくなってると言われても
後ろ足が動かなくなるのかなぁ
だったらリハビリと車椅子かなぁとか。
そんなことしか考えてなかった。
翌28日。
午前中のお見舞い。
酸素室のおうじろうは落ち着いていたが
息が荒かった。それでも、
死など考えないオイラ。
今思うと相当やばい状態だ。
戸を開けて触ってもいいと言われた。
でも、足を触ると抵抗するらしい。
が、触ってみた。
手でやめてやめてとするが
落ち着いている。
おうじろうの頭を撫でてやる。
先生の話を聞く。
覚えてないが聞いたと思う。
一旦家に帰り
夕方の面会に行く。
もう、酸素室の戸は開けてもらえなかった。
長い時間おうじろうを見ていた。
先生が話があるからとのこと。
下の診療待合室で待っていた。
話が終わって再びおうじろう。
息荒く寝転んだままだ。
入院中のおうじろうはいつも
オイラを無視する。
こっちを見ない。
朝もこの時も、おうじろうはオイラを見ない。
身体を起こすのも大変な様子のおうじろう。
グッと手に力を入れて
身体の向きを変えた。
その瞬間、
身体の向きを変える時
おうじろうがオイラをじっと見た。
一度載せたことのある写真だが、
あの時オイラをじっと見たおうじろうの顔は
この顔(その時の写真ではない)。

で、身体の向きを変えて
また、オイラを無視した。
おうじろうの横顔が見える。
オイラは次の日から当分仕事で
面会に来られない。
おうじろうに
そのことを知らせなくては。

出かけるから。
だからおうじろう、頑張るように。

そう告げた。
出かけるから、とオイラが言った時、
おうじろうが瞬きした。
出かけると言うことは
オイラがそばにいないと言うこと。
おうじろうは理解していた。

その日が
生きているおうじろうを見た最後だった。


入院中は必ずオイラを無視するおうじろう。
絶対こっちを見ない。
入院させたことへの抵抗なのだろう。
なのに
身体の向きを変えたあの時、
オイラをじっと見た。
オイラもおうじろうをじっと見た。
そう、あれが
おうじろうのサヨナラ。

それでも、おうじろうは 
オイラを待って最後まで頑張った。
一年前の今日、昼過ぎから
意識がなくなり
呼吸も小さくなって
喉を切開し気道を確保し
蘇生を施してもらい
夕方、オイラが駆けつけた時には
もう呼んでも返事をしなかった。



おうじろうは
どんな時でも
毅然としていた。



おうじろう、またね。
オイラはもう泣かない。