古文書を携えて・・・
公務と所用を兼ねて、地方を旅している。
偶然とは面白いもので、急な私用が出来たと思ったら、それを狙ったかのように公務が生まれた。そんなわけで、先週は中部地方を一巡して東京に戻り、今回は中国地方へ来ている。
今日は昼過ぎのバスで鳥取を発ち、次の予定がある三ノ宮へ移動してきた。鳥取からの所要時間、およそ4時間。そこからさらに東京までを足せば8時間となる。このの移動だけでも一日の勤務時間に相当する。
空路にも都合の良い便がなく、といってローカル線でゆっくり行く暇も無いので、時間優先で考慮した結果、バスでの移動となった。ローカル線だったらそれこそ一日がかりになってしまうだろう。
今回の行程は、かつて私の先祖が統治した国、美作国を横断する。
その藩都である津山へ行く気はサラサラ無いが、やはり先祖の地を訪ねるのは鋭気を養えるような気がして、嬉しいものである。
そこで、今回は一冊の家書を持参していった。
希少性もなく、書かれた年代はかなり後の時代であるが、内容は森家が美作を統治していた頃の記述だ。我が家にとっては大事なもの。
そんな史料を手にしながら、その書物が示しているその土地を窓から見る。家書にとっては里帰りをしているようなものであり、難しい文字を辞書片手にあれやこれやと解読するのにも臨場感に富む。
小説や映画を見てると、視聴覚に疲労を来たして車酔いをしかねない。
だけれど、大きな文字の古文書をゆっくり解読して行く作業は、
あわただしい旅行で楽しめる束の間の時間だ。
と言っても、読めない文字はどうしたって読めないのだけれど。
途中で立ち寄ったドライブインで地元のアイスを購入。
史料を畳み、気分転換に小休止。
家書もちて 遠祖ゆかりの 国訪ね
美作入れども 津山入らず
高節