25年ぶりの床屋
床屋と歯医者は変えないほうが良い、という話をどこかで聞いたことがあるが、まさにその通り。
しかしながら私はこの2つが中々定着しない。 歯医者はあちこちにカルテを残しているし、床屋もあまり良い所に当たらない。
そんな中、地元の理容店を久々に訪ねた。かれこれ25年ぶりということになる。
私の生家のすぐ近所にあったこのお店は、今も同じ場所に店を構えている。 当時から少々高級感を漂わせる店だったが、今では何処のお店もこんな内装である。
父上をはじめ伯父上もここに通っているらしく、実家の食卓でよく話題となる店でもある。
あらかじめ予約をして店に行く。
苗字だけでは、まさか私が誰だとは気づかないだろう。
だが、血は恐ろしいもので、顔を見るなり、
「あ、正雅堂厩舎の息子さんですね?」
あれれ、入店5秒でバレてしまった。
我が家は先祖代々ハゲの家系。
父上だけは、けな気な努力の末、何とか瀬戸際で踏ん張ってはいるが私も間違いなくその路線を歩んでいる一人である。ただ、我を含めた一族の名誉のために言えば、ズルッといっているハゲは居ない。 曽祖父はツルッツルだったが。
シャンプーで洗ってもらうとき、遠慮がちにマスターが一言。
「あ、お父様ほどではないですね」
ほど?
うーん、一言余計じゃない??と思いつつ失笑を隠せず
しかし、二人並べば、明らかに同程度なんだがなあ・・・・
あ、もしかして。
そう、マスターは間違いなく私を伯父上の息子だと思っているらしい。
それならば、「ほど」という敬称も納得が行く。
その伯父上もズルッと行っているハゲではないのだが・・・。
ちなみにこの写真が私の初来店時の写真。
床屋の写真が残っているというのも珍しい。