カール・パーマーが来日するそうだ。

 


ずっと本人のFacebookやInstagramを覗いていたがそんなこと一言も話していなかったので、あまりの唐突さに衝撃を受けてしまい逆にダメージを喰らってしまった。ここのところ精神的に参っていたので、ODで死にかけているところに急にアドレナリンをぶち込まれたようなものである。

 

 

 

 

一言もというのは嘘だった。実は去年の11月頃にインタビューにて大規模な米国ツアーの後にヨーロッパ、日本、そしておそらく南米にもいく予定だと話していた。

 

 

日本だけ明確に行く場所として指定していたものの、コロナ禍によってGenesisの来日公演が実現されなかったということもあったので大いに希望を持ちつつも期待はしないでいた。

そして本人は見ていないだろうなと思いつつ、心房細動の手術を無事終えて自宅療養している頃に「元気になりますように、そして出来れば日本にも来てください」というようなコメントを送った。

 


夢のようなことが現実になりとても嬉しい。

 

 


ただ一つ頂けないことがあるとすれば日本のメディアサイトの報じ方だろう。ELPが27年振り4度目の来日という書き方をしていて、語弊があるし人々を注目させるための釣りにしか思えない。カールはELPとしてではなくThe Return of Emerson, Lake and PalmerというツアーをCarl Palmer's ELP Legacyというバンドでやっている。それはGenesis RevisitedのSteve HacketをGenesisと呼ぶようなものだ。ELPowellにELPを名乗るなと訴訟するぐらいなんだからそこを間違ってもらっちゃ困る。

キースとグレッグの映像を使うなんてと批判する人も一部にはいるが、ギター・トリオという新しい形で違う名前を使っているのにダメなのかと思う。彼らが生きていないとカールはELPの演奏を禁止されてしまうのか? それも変な話である。自分はカールのやり方に誠意を感じる。グレッグなんてみんな生きていてもカラオケ音源でやっていたんだし。

(そもそもキースは批判を気にして自死の道を選んでしまったのに、カールには何を言っても大丈夫だろうとか思ってるのか……誹謗中傷で学ばない人達がどこにでも蔓延っていて悲しい。)

 

 

ぐだぐだと自分の意見を書いてしまったが、何故ここまでカールが好きなのかというとそれは純粋に彼のドラムが大好きだからである。


自分は人生の大半を音楽という趣味に費やし、楽器は鍵盤をメインにベース、ギター、マンドリンその他をかじる程度にやっていた人間だがドラムに触れる機会は少なかったため、音楽を聴く時は自然とドラム以外に耳を傾けていた。何ならシンセポップが好きだったのでリズムボックスなんかで十分とすら思っていた。上手いとか凄いとかあってもそこまで興味を持つことがなかった。

けれどもある時、YouTubeで何となくELPのライブを観てみたら、(鍵盤で暴れ回るキースも勿論目を引くのだが)爆速でドラムを叩きまくり、銅鑼を鳴らし、口で紐を引っ張って頭の上の鐘を鳴らし、更にはドラムごと回転する(しかも脱ぐ)という驚異的なパフォーマンスをするカールがいて衝撃を受けた。涼しげな顔でリズムを刻むドラマーも格好良いが、まるで長距離を物凄いスピードで走っているかのような、今にも気絶しそうな程一生懸命にストロークするその様に誰にも真似出来ないパワーを感じた。それに加えおかずを沢山入れてくるのも聴いていて楽しい。

 

ドラムの"音色“を聴く面白さを知ったのは紛れもなくカールのお陰である。今まで散々聴いてきた曲もドラムという味覚が育ったため、更に楽しめるようになった。The Beatlesのリンゴのドラムの魅力にも気付ききっていなかったと思うと恐ろしい話だが。

 

 

 

そういうわけで今回のライブをめちゃくちゃ楽しみにしている。齢73にして快活なカール、憧れるし尊敬しています。生きる勇気を与えてくれてありがとう。自分も周りに流されず好きなものを突き進めたいな。