私の共産党除名撤回裁判で、被告である共産党の側は、高度な自律性が求められる政党における除名などの内部問題について、裁判所の審査権は及ばないのだと主張している。だから、私の除名について、規約上の手続きがちゃんと取られたかなどは、答える必要さえないという立場である。

 

 確かに、1988年の共産党袴田事件の最高裁判決は、その種の論理を展開しており、共産党が勝訴した。それを私の裁判でも維持すべきだという論理である。東京地裁は裁判せずに門前払いせよということでもある。

 

 そのおかしさは、次の期日である9月2日も主張していくことになるが、すでに裁判所、司法の側は、そういう古い論理を相手にしていないことが、最近、別の事例で証明された。日本維新の会の除名事件である。

 

 今月10日、名古屋地裁に対して、元維新の会の小村貴司市議が除名(処分は2月)の無効を訴えて提訴した。争いの内容はこのブログのテーマと関係ないので書かないが、ヤフーニュースにもなっているので、関心のある方は読んで頂きたい。

 

 大事なことは、提訴前の4月末、名古屋地裁が愛知維新の会の総支部をガサ入れしたことだ。除名に関する「証拠保全」が目的だった。

 

 証拠隠滅などが疑われるとき、この種の証拠品の押収がされることは、よくニュースでも見られることである。しかし、その主体は捜査機関であって、裁判所がみずから行うことは珍しいと思われる。

 

 裁判所がそこに踏み切った経緯、動機は知らない。しかし、私の裁判にとって意味があるのは、これって裁判所自身、除名の手続きがどう行われたのかが大事だと考え、ちゃんと司法審査するために証拠を保全しておくべきだと考えたということだろう。

 

 そうなのだ。最高裁の袴田事件の判例があるので、その考えにいまも地裁が立っていれば、こんなことはあり得ない。過去の判例は通用しないことが、すでに地裁の段階でも徹底されているので、この種のガサ入れに地裁が踏み切ったということだろう。たぶんね。

 

 ということで、先行きは明るい。政党に対する司法審査を否定する共産党の側の思惑は、きっと否定されることになるだろう。