〈前文だけご紹介〉

 

 共産党の第29回党大会の2日目(1月16日)、神奈川県から代議員として選出された大山奈々子氏(県議会議員)が、私の除名問題について発言した。公表されたタイトルは、「問題は出版より除名処分、共産党『怖い』と思われる」というものだ。直接に私にかかわるものだし、私が大会に求めていた「再審査」を「適切に受け止め」てほしいというものでもあり、本来だったらいち早く私自身が論評すべきものだったと思う。けれども、3月に開始したメルマガでも、ほぼ毎日書いているブログでも、これまでは取り上げてこなかった。

 

 なぜかと言えば、「ご迷惑をおかけしたくなかった」の一言に尽きる。

 

 昨年2月に除名されたその日、大会での再審査を求める立場を明らかにしたが、その直後から共産党によって開始された「反松竹キャンペーン」はすさまじいものだった。「赤旗」紙上や党幹部の演説会で、私は「党かく乱者・破壊者」と呼ばれるようになり、何の証拠も示されないまま権力と結託した悪辣な人間であると断定されることになる。

 

 それだけだったら、私が堪え忍べばいいことだ。しかし耐えられなかったのは、私と親しい党員の友人・知人にも迷惑がかかったことである。除名される前に連絡をとろうとすれば「分派」扱いされるから控えてきたが、除名後なら、会っても規約違反にならないだろうと思っていたのだ。ところが党機関は、私の友人・知人に対して、「党破壊者と会うようなことをすれば、あなたの党員資格も問われることになる」と圧力を強めてきた。理不尽なことだとは思ったが、迷惑をかけてはいけないので、私のほうから連絡することは止めることにした。私の世代の党員は、現在、中央でも地方党機関でも幹部となっている場合が多く、中央委員や県委員長のなかには何人も知り合いがいるのだが、だからこそ余計に関係を持ってはいけないと覚悟したのである。

 

 大山氏に関しては、私は大会で発言されるまで、お名前さえ知らなかった。神奈川では、大会代議員を選出する県党会議の場で、除名反対を訴えて代議員に立候補する人が2人いて、2割程度の支持を得たが選出されなかったと聞いていおり、異論を持った人は完全排除されたと思い込んでいた。だから、異論を出したのが神奈川の代議員だと聞いて、意外に思ったほどである。

 

 それでも私が大山氏の発言を評価すると述べることになれば、現在の党中央は事実や証拠など気にしないようになっているので、何か分派的な関係があると疑われるかもしれない。ネット情報を見ても、共産党員と思われる人が「松竹・大山一派」などと書き込むし、大山氏も苦しい立場にありそうだ。そう思って控えてきたのである。

 

 けれども、大会からはすでに4か月近くが経過した。事態が沈静化したわけではないが、煽る人がいても、冷静な議論が通用する雰囲気も醸成されている。先月、党大会の議事を掲載する「前衛」の臨時増刊号も入手し、実際の議事にもとづいて正確な論評をすることも可能になった。そこでようやくメルマガにも書いておこうと思い立ったのである。(以下、メルマガに本文)

 

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