この連載の途中から、大山氏の大会での発言を取り上げてきたが、これが最後である(2回に分けるが)。まず発言内容。

 

「メディアによる攻撃論がくり返し訴えられますが、攻撃の理由を与えてしまったのが党の判断である以上、その判断に間違いがないというのであれば、いっそうわが党が民主的である証左として、松竹氏による再審査請求を適切に受け止めて、国民の疑念を晴らすべく、透明性をもって対処することを要望します。」

 

 これに対する中祖氏の反論は、かなりズレている。大山氏の発言は、「除名」という「党の判断」が「メディアによる…攻撃の理由を与えてしまった」ということを問うているのだ。それなのに、中祖氏はそれに答えないまま、「機敏な対応が要請された」とか「タイミングを選んだのは松竹氏の側です」と述べている。党の除名の判断が統一地方選挙前になったことの言い訳をしているに過ぎない。「党の判断」が「メディアによる…攻撃の理由を与えてしまった」ことを事実上は認めているようなものである。選挙前のタイミングで除名した結果、嵐のような批判が沸き起こったことが、よほどトラウマになっているのだろうか。

 

 まあ、だから、反論になっていないのだが、せっかく中祖氏がタイミングのことを言っているので、その問題だけ論評しておこう。簡単なことだけれど。

 

 まず、中祖氏は党中央につくられた「松竹チーム」の中心メンバーなので、私がブログなどで書いていることはすべて読んでいて知っているだろうが、出版社が本の発売時期を23年初頭と提示してきたとき、私は統一地方選挙への影響をかなり苦慮した。だから、23年初頭という範囲内でも、選挙ともろかぶりしそうな2月、3月はだめ出しをして、投票日から離れた1月か投票が終わった4月でお願いしたという経過がある。1月はその結果である。

 

 私は本を党員に読んでもらいたかったから、記者会見もした。それはかなり好評で、メディアで大きく取り上げられたと思う。

 

 しかし、当時の「赤旗」を読み直してもらえば分かるが(中祖氏は政治部長なので読み直さなくても知っていることだが)、除名の前、私の本に関して掲載されたのは藤田健氏の私を批判する論文だけであった。本に対するメディアの好意的な評価を捉え、それを「攻撃」だと批判するような「赤旗」論評は、当初は皆無だったのである。

 

 それが覆ったのが、2月5日の除名の決定であった。そこでようやく除名に対する批判的な報道記事が出るようになり、「朝日」からつづく何社かの「社説」での批判になっていくのである。(続)

 

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