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日本共産党第二九回党大会代議員各位

除名処分の再審査請求書第Ⅲ部

二〇二四年一月九日 松竹伸幸

 

 二〇二三年二月五日、京都南地区委員会によって除名(翌日に京都府委員会が承認)された私は、党規約第五五条(「被除名者が処分に不服な場合は、中央委員会および党大会に再審査をもとめることができる」)にもとづいて同一一月一日、党中央委員会宛に除名処分の再審査請求書(第Ⅰ部および第Ⅱ部)を提出し、第二九回大会での再審査を求めました。党大会を目前に控え、本日、再審査請求書の第Ⅲ部を提出します。

 

〈新しく請求する事項〉

 

 再審査請求書の第Ⅰ部と第Ⅱ部では、党大会の意思として、除名処分を撤回することを求めました。その基本的な考え方に変化はありませんが、諸事情を勘案した結果、大会が資格を有する除名処分の最終的な審議・決定を、私が所属していた京都南地区委員会新日本プロセス支部に委任することを、本大会の意思として確認するよう求めます。

 

 党規約に再審査の規定がなかった第七回党大会(一九五八年)において、五〇年問題のなかで除名された少なくない党員から除名撤回の申し立てがありました。その際、大会幹部団は大会で選出される中央委員会の第一回総会で審議・決定することを大会に報告し、了承されました。大会が資格を有する再審査の最終的な決定を他の党組織に委任することは、過去に事例があるということです。今回私が求めるのは、その先例をふまえ、大会幹部団が私の除名処分の最終的な審議・決定を新日本プロセス支部で行うことを大会代議員に報告し、大会の意思として了承を得ることです。大会の意思として決めるのであって、党規約第五五条の精神に合致していると考えます。

 

〈新しい請求をする理由〉

 

1、党員の処分は、本人が所属する支部の党会議または支部総会で決定することが、規約で明示された本来のあり方です。ところが私の除名処分は、メディアによる党攻撃が行われていることを理由に、地区委員会が直接に行いました。現在、党攻撃をしているメディアなどは存在しておらず、規約本来のあり方をふまえて決定することが可能だと考えます。

 

2、私は除名理由の一つとして日米安保条約・自衛隊問題での綱領違反を指摘されました。しかし、安保条約第五条の発動も、自衛隊を専守防衛の部隊に改革することも、民主連合政府が自衛隊を合憲扱いすることも、すべて志位委員長が最初に言明したことです。私の「核抑止抜きの専守防衛」の提言は、それを受け継ぎ発展させようとしたものです。規約に反する分派活動も批判の対象とされましたが、分派禁止の一九五八年規約を提案した宮本顕治氏は、分派とは別の綱領にもとづいて結束する集団だと定義しています。志位氏と同様、現綱領の下でも当面の間、安保・自衛隊を維持する政策の提示が可能だと考える私は、現綱領を別の綱領に取り替えることはもちろん、綱領の一部改定さえ求めたことがありません。それなのに志位氏は党首として讃えられ、私は除名されるという謎の根源が解明されない限り、再審査は意義あるものとなりません。その事情を理解するには、旧綱領・規約から現綱領・規約への発展の意味を知ってもらう必要があり、再審査請求書は約二〇万字にも及んでいます。短時日の審査で結論を得ることは簡単ではありません。

 

3、以上の点をふまえた再審査が実施されるよう、私は二か月以上前に提出した再審査請求書で除名を撤回すべき理由を記した上で、党書記局に対して、他の大会議案と同様の全党的な討論を求め、選出される代議員への事前配布もお願いしました。しかしそのようなことは行われませんでした。それどころか現時点で、私が大会の場で意見表明できるかどうかも含め、何の返事もない状態が続いています。そのような状況下で再審査が実施されたとして、たとえその場で代議員に再審査請求書が配布されて審議が行われる場合であっても、代議員が目を通す時間もないまま採決に付されることになれば、日本共産党の歴史上初となる再審査にふさわしいものとなりません。けれども、私のかつての所属支部で決定することになれば、十分な時間をとって審議・決定することが可能になります。

 

4、一月一日に能登半島大地震が発生したことにより、いま国民の関心は、被災した住民の命と暮らしをどう守るかに向けられています。日本共産党の現在の使命もそこにあり、全力を傾けなければなりません。私は、除名問題の再審査が大会の焦点となることを望んでいますが、現在の政治状況下で党が内部問題の処理に関心を集中させているように見えることは、国民の期待を裏切ることになりかねません。今回の再審査では支部に権限を委任する可否の議論に注力し、最終的な審議・決定はふさわしい時期に支部で本格的に行うことは、そのような問題を回避することになり、日本共産党が日本の政治の現局面で欠かせない役割を果たすためにも必要だと考えます。

 

 以上、せめて本審査請求書だけでも代議員のみなさんに配布され、公正な判断に資するものになることを期待します。