仕事の話です。今年1月から4月にかけて、「講座:わたしたちの歴史総合」全6巻を刊行したことはお知らせしました。世界史と日本史の統合、覚える歴史から考える歴史へと謳って出発した高校教科「歴史総合」の問題意識をふまえ、一般書として刊行したものです。

 

 西洋史、東洋史、日本史の垣根を超えて、歴史学者6人が7年間の議論をへて執筆したシリーズです。たいへん高い評価を頂いています。

 

 その刊行から半年を経て、ようやくその「索引」をHPで公開しました。しかも、「総合索引」ですよ。

 

 ふつう、索引と言えば、それぞれの巻についているものです。でも今回の索引は、全6巻の共通索引となります。つまり、例えば「国家」の用語を見れば、1巻から6巻まで、それを扱ったページが出て来るということです。

 

 「歴史総合」自体が新しい試みですが、この共通索引も新しい。というか、歴史総合らしいチャレンジになっていると思います。著者代表の渡辺信一郎先生(元京都府立大学学長)からは、「歴史用語の参照点として、また現代歴史学が何を重視しているかを知る素材として、おおいに役立つと思います」とのメッセージを頂きました。

 

 歴史総合は、考える歴史です。事実を覚えるわけではない。ですから、「国家」にしても、いろいろな事実は出てくるわけですが、大事なのは、そうした事実から「国家とは何か」を考えることなのです。ということは、その国家は、現代の国家でもいいし、古代ローマの国家でもいいし、中国王朝でも構わない。

 

 そういう歴史総合の新しい要素が、索引にも結実したということです。HPからダウンロードできるようにしましたので、是非、読者の方には活用していただきたいと思います。これは2023年11月版として出しているもので、今後も読者の方の要望に応えて、改定、充実させていきたいと思います。