ということで、野党共闘で政権をつくろうとした場合、共産党は、その政権が長く続くように努力するわけである。安保を維持した政権で、共産党の解釈によると、その政権を続けると日本はアメリカの戦争の足場になるのだが、その政権を支持し、他の分野でいろいろな成果が上がるようにするわけである。

 

 ところが一方で、共産党は党としては安保廃棄の努力を続けるという。だから、政権が安保を維持することと何の矛盾もないと説明する。

 

 しかし、他党との政権協議をしているのは、他でもない共産党である。党として、安保を維持する政権をつくるため努力をしているのである。政権ができたときに党から出す閣僚がきまっていて、その閣僚が党の方針に反して政権協議をするわけではない。

 

 それとも、野党の政権ができたら、共産党は、安保を維持する政権として打倒の対象にするのだろうか。それなら、党としては安保廃棄が政策だと言っても通用しないわけではない。野党政権は短命に終わるのだから、安保が維持されていることを前提とした政策でなくても、矛盾する期間は最短で終わるのだから。

 

 けれども、これまで論じてきたように、共産党は野党政権を長く続けたいのである。ということで、この究極の矛盾を解消しようとしたら、2000年の大会で決めた三段階論と、それを取り込んだ現綱領の立場に立ち、具体化するしかない。

 

 安保も自衛隊も維持する第一段階、安保は廃棄するが自衛隊は維持する第二段階、自衛隊の解消に向かって努力する第三段階である。その第一段階で党としては安保と自衛隊の維持を前提としてどんな防衛政策をとるのかを明確化するべきなのである。

 

 ところが、私がその段階での政策として、「核抑止抜きの専守防衛」という考え方を打ち出すと、安保と自衛隊を容認するものだと批判し、専守防衛は憲法違反とまで述べた。そして除名処分を強行した。

 

 率直に言って、そんな対応では、他の野党が政権協議の対象にすることはないだろう。もっと緻密な政権構想と政策対応が必要である。

 

 私としては、それを次に刊行する本で明らかにしたい。8月10日、宝島社新書として刊行予定である。その前日には記者会見をして、来年1月の党大会で予定されている除名処分の再審査をどう闘うのか、決意なり方針なりを明らかにしたい。(了)