私へのインタビューが共同通信から配信され、それを他の地方紙に先駆けて長崎新聞が掲載した。長崎新聞が最初になったのは、おそらく私が長崎生まれと書いてあったからであろう。
それを読んで初めて、私へのインタビューがどんな記事になっているのか、私自身も知ることになった。共同通信は、まとめた記事をインタビューした人に事前に確認しないのである。
メディアによって対応はさまざまだ。と思っていたところ、共産党の長崎県委員会が、私の語った内容が事実と異なるとして、長崎新聞社に抗議を行った。それをめぐってネットで話題になり、県委員長のツイッターは炎上状態だ。この問題では昨日、田村智子政策委員長もメディアから突っ込まれていた(田村さんの会見はいつも動画でアップされるのに、これがされていないのは、人に見せてはいけないと判断されたのだろう)。
それらのやり取りを見ていると、共産党は何が問題にされているのか、あまり理解していないようだ。私が共産党に助言するのも変なのだが、少し書いておきたいと思う。
まず、志位さんが朝日新聞をやり玉に挙げた記者会見以降、メディアが共産党による批判に対して結束を強めていることが背景にある。あるメディアの記者と最近話し合ったのだが、これだけ共産党から批判を加えられているので、メディアとしても黙っていられない状態になっていると言っていた。
それなのに、共産党の側は、逆にメディアによる共産党批判キャンペーンがやられていると思い込んでいる。だから、メディアの報道の一つひとつに過敏になり、あまり常識的でない対応をしている。だから、メディアはどんどん結束を強めているようだ。
しかも、今回の長崎新聞社への抗議は、一般に共産党批判に対して抗議するというものではなかった。私は、例えばメディアが共産党は暴力革命の党だなどと報道したとして、それに抗議したりするのは当然だと思う。しかし、今回の問題はまったく異なる。
何よりも、今回の記事は私へのインタビューである。私がインタビューされるのだから、私の見解を述べる記事になるのは当然である。その内容が気にくわないからといって抗議していたら、共産党の容認する記事以外は載せるな、ということになりかねない。
いや、「事実が異なるのだ」と抗議する人は述べる。しかし、例えば志位氏に辞任を求める声が多いか少ないかは、その人の周りの状況によって異なるだろう。私の周りに多いことは事実だし、おそらく県委員長にまでその声を伝えに来るような人が少ないのも事実だと思う。正確にしようとすれば、党内で秘密投票でもしなければならないが、そんなことを共産党がやるわけがないから、何が事実かは人によって受け止めが異なるとしか言いようがない。
だから、メディアが公正に報道しているかどうかは、そのメディアの全体の報道を見ないと判断できないわけだ。共同通信だって、共産党の側の言い分を載せる記事はいくつも配信しているが、今回ようやく私へのインタビューをしてくれたのである。その初インタビューへの抗議なのである。
いま安倍政権時代の放送への介入が問題になっているが、メディアの側が、報道の全体を見て判断してほしいと述べていたのに、「いや、単一の番組でも偏向していたら許さない」というのが安倍政権であった。現在、メディアが共産党の言い分も報道しているのに、松竹の言い分を載せたら許せないとなってしまったのが、長崎新聞をめぐる問題であった。
この共同の配信は、本日、他の県でも各紙に掲載されたそうだ。メディアが政党に対抗しようとすると結束するしかない。そんな状況が今後も続きそうな気配である。