習近平が中国共産党の総書記に選出された。異例の3期目である。
日本のどのメディアも報じているように、習近平の独裁体制がさらに強化されたというのが、常識的な見方であろう。日本共産党の「赤旗」も、一面などではまったく報じていないが、国際面ではトップで「権力集中さらに」という見出しを掲げている。
「赤旗」はさらに、コラムで解説を行っている。そこではまず、「新たな最高指導部メンバーは習氏と関係が深い人物で固められました」としている。その上で、「今後の国際社会は、「極限まで権力を集中させた習指導部と向き合うことになります。人権問題や台湾への軍事的威嚇などに厳しい目を向けながら、冷静に対応していく必要があります」と結んでいる。
まっとうな評価、解説であろう。ただ、それだけに、なぜそんな権力集中システムができあがるのか、そこを深めることが不可欠ではないのだろうか。
共産党というのは、どの国であっても、トップの選出方法は似通っている。中国共産党の場合も、全国から代議員が集まった最高機関である大会で方針を決めると、大会の最後に、中央委員の選出が行われる。今回、205名が選ばれた。
その上で、第1回目の中央委員会総会が開かれる。そこで政治局員が選ばれ、そのなかから政治局常務委員(今回は7人)が選ばれ、その序列トップが総書記ということになる。
日本共産党の場合も、基本的に同じである。代議員が集まった最高機関である大会で中央委員を選び(現在は193人、加えて准中央委員が28人)、その第一回目の中央委員会総会で、指導部を選んでいく。中国では総書記、常務委員、政治局とされているものが、日本では委員長、常任幹部会委員、幹部会委員となっている程度の違いである。
日本共産党は、この指導部選出システムが「民主的」だと主張している。8月24日の「赤旗」に掲載された党建設委員会名の論文、「日本社会の根本的変革をめざす革命政党にふさわしい幹部政策とは何か」は次のように述べている。
「現在の党指導部について、『まともに選挙もしないで居座っている』という非難がありますが、事実と異なります。わが党は、党大会という最高の意思決定機関で、全国から選出された代議員による民主的選挙によって中央委員会を選出し、中央委員会は、幹部会、幹部会委員長、幹部会副委員長、書記局長などを民主的選挙によって選出しています。……
わが党の場合、中央委員会という指導機関を選出し、中央委員会が党指導部という日常的に指導責任を負う集団を選出し、個人の専断を排し、集団の英知を結集した党運営を貫いていることも、民主的特徴となっています。」
中国と同じ選出システムなのである。それなのになぜ、中国の場合、「極限まで権力を集中」するようなことになるのか。なぜそういうシステムが、日本の場合「民主的特徴」を持つのか。党建設委員会は、その理由を明らかにしないと、この論文は説得力を欠くことになるだろう。