国際面は数日前からこの話題で持ちきりである。国連安保理でも議論されていて、アメリカは、非難の決議案を準備しているという。

 

 その議論の様子は断片的に聞こえてくるが、中国がどうしようとしているのか、いまのところ見えてこない。しかし、これまででもっとも苦しい立場に追い込まれていることは間違いなく、中国の対応次第では、ロシアの影響力がさらに極端に低下することもあり得るだろう。議論の行方が注目される。

 

 多言は要すまい。だって、住民投票の結果で独立ができるとなれば、台湾の人々も投票を求めはじめるだろうからだ。さらに、「独立」した東南部諸州をロシアが武力で守り、それを既成事実化することが許されるならば、独立した台湾をアメリカが武力で守ることも正当化されるからだ。

 

 アメリカが準備している決議案に中国が反対する場合はもちろん、棄権する場合だって、そういう可能性を残すことになる。だから、いまアメリカに求められるのは、どうやったら中国が賛成するか、真剣に考えることだ。ハードルをできるだけ低くして、中国に賛成することを呼びかけるべきだ。可能ならば共同提案だって選択肢にいれればいいのではないか。

 

 朝日新聞では、「決議案は各国に、ウクライナ領土の変更を認めないよう求め、ロシア軍の撤退を義務付ける」とされている。ウクライナの領土変更を認めないことは、決議案のそもそもの趣旨だから当然だけれども、ロシア軍の撤退までは中国が賛成するとは思えない。

 

 中国が台湾問題でさかんに言っているのは、外国勢力と結託して独立分子が挑発することは許されず、そういう場合は武力行使を辞さないということである。それならば、中国のそんないつもの論理を持ってきて、同じように、外国と結んで住民投票を行い独立を宣言するのは許されないという決議案でいいのではないか。「中国の言い分をそのまま持ってきて決議案を作成した」と強調すればいいではないか。アメリカだって台湾独立を支持しないと言っているのだから、この程度は許容範囲だろう。

 

 まあ、いまのアメリカは、ただ強くロシアを批判することしか考えておらず、外交するだけの頭脳もない。誰かアメリカに友人として助言できる国はないのかね。