はい、世の中は参院選モードに急展開です。そこで本日、「自衛隊を活かす会」は各政党にアンケートを送りました。戦争犯罪をめぐって自衛隊の行動に関する法制を整備しなければならないと考えており、その関係のアンケートです。この種の問題は、票にならない分野なので、各政党とも選挙が迫っていると真面目になってくれないのです。だから、参議院選挙後、次の国政選挙まで3年の猶予が生まれますから、その間に会としては積極的に世論を喚起していくつもりです。アンケートは以下ですが、PDF版は会のホームページからダウンロードできます。

 

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○○○○党御中

第26回参議院選挙に当たっての各政党に対するアンケート

二〇二二年六月一六日 「自衛隊を活かす会」(「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」)

 

 当会の活動ではいつもお世話になっております。第26回参議院選挙を前に、自衛隊の行動にかかわる法制の整備について貴党のご見解を伺いたく、質問をさせていただきます。広い意味で戦争犯罪に関する三つの分野に限定した質問です。郵送、FAX、メールのいずれかで、七月五日までにお答えください。お答えの内容は当会のホームページで公表することがあります。また参議院選挙後、当会としましては、これら法制の整備のために貴党のお力添えをいただきたいと考えており、その際はよろしくお願いします。なお、衆議院法制局のご協力を得て、この問題での法案骨子を作成していますので、ご参考になるよう同封いたしました。

 

〈質問テーマ〉

 

一、自衛官が上官命令で戦争犯罪を犯した場合、上官の罪を重くする規定を設けること。

二、国外に派遣された自衛官が過失で人を死傷させた場合に処罰の対象とすること。

三、国際刑事裁判所規程にある四つの罪を、日本の刑法でふさわしく位置づけること。

 

〈質問項目とその趣旨〉

 

一について

 自衛隊はいうまでもなく上官の命令にもとづいて行動する組織体であり、そうでなければ任務を遂行することはできません。同時に、そうして行動する自衛官が戦争犯罪を犯さないようにするためには、上官が国際法、国内法に反する命令を発しないことが求められます。しかし、ウクライナ戦争が示すように、たびたび戦争犯罪が起きている現実は、軍隊において上官が違法な命令を行う場合があることを明らかにしています。こうした事態を避けるため、ドイツでは違法な命令には従わない権利(抗命権)が保障されています。一方、日本ではその種の法律上の明文規定は存在しておらず、「命令の内容に不明の点がある場合には、直ちにこれを聞きただし、その実行に誤りがないようにしなければならない」「自衛官は、隊務の向上改善に役立つと信ずる事項については、誠意をもって積極的に上官に意見を具申しなければならない』(「陸上自衛隊服務規則」)とされるにとどまっています。

 そこで質問します。

①自己の部下が違法な犯罪を実行することを知りながら、上官がこれを防止しなかった場合等には、刑法第62条(幇助)の規定にかかわらず、正犯の刑を科すべきではありませんか。

②違法な犯罪が上官の命令にもとづいて行われたものであるときは、上官のみを裁くような規定を設けるべきではありませんか。

 

二について

 PKO協力法等により自衛官が国外に派遣される場合があります。その際の自衛官の地位は、国連が受入国と結ぶ地位協定で規定されることになりますが、受入国の刑事裁判権から免除されるのが通常です。自衛隊が独自に派遣している場合(ジブチ)も同様です。つまり、自衛官が事件、事故を起こした場合、受入国の裁判には服さないということです。これは、派遣国である日本の刑法で裁かれることが前提になっている規定です。ところが日本の場合、自衛官が国外で過失によって人を死傷させた場合の規定が存在しておらず、法の対象外に置かれているのが現状です。この点は国会でも二年ほど前に問題となり、河野太郎防衛大臣(当時)が、「検討のための準備を始めていきたい」と答弁していますが(衆議院予算委員会、二〇二〇年二月一九日)、その後、進展が見られないようです。

 そこで質問します。

①PKO協力法等により国外に派遣された者が、武器や自動車等の使用や管理に当たって必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合について、国民の国外犯処罰の対象とすべきではありませんか。

②前記の法改正がされるまでの間、自衛官の国外派遣を慎むべきだとお考えではありませんか。

 

三について

 国際刑事裁判所規程(ローマ規程)は、「国際社会全体の関心事である最も重大な犯罪」として、集団殺害犯罪(ジェノサイド)、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪という四つの罪を裁くことになっており、日本はこれを二〇〇七年に批准し、その際、「国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律」を制定しました。それに先立つ二〇〇四年には、「国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律」をつくっています。しかし、これらの法律で新たに裁くことになったのは、「重要な文化財を破壊する行為」、「捕虜の送還を遅延させる罪」、「占領地域に移送する罪」、「文民の出国を妨げる行為」に限られています。ローマ規程で「最も重大な犯罪」とされた四つの罪について言えば、「侵略犯罪」は裁く対象になっていません。「集団殺害犯罪」についても、ローマ規程は「その(民族的)集団自体を破壊する意図を持って」行われるものと定義していますが、その種の定義は日本の刑法では定められていません。もちろん、大量に殺人を犯した者が裁かれないことはないでしょうが、ローマ規程の定義に沿って裁かれるのではないということです。日本が「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約」(ジェノサイド条約、一九五一年発効)を批准すらしていないのは、ジェノサイドの定義が不明確だからだと言われていますが、こうして日本は世界の水準から大きく立ち後れているのです。

 そこで質問します。

①ローマ規程で「最も重大な犯罪」とされている四つの罪について、刑法上もふさわしく位置づけるような法改正をすべきではありませんか。

②その他、ジュネーブ諸条約及び第一議定書上の「国際的な武力紛争に係わる重大な違反行為」、同条約並びに第二議定書上の「非国際的な武力紛争に係わる重大な違反行為」について、全てを処罰の対象とすべきではありませんか。

以上

 

「自衛隊を活かす会」(正式名称「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」)

代 表   柳澤 協二(元内閣官房副長官補)

呼びかけ人 伊勢﨑賢治(東京外国語大学教授)

  同   加藤 朗 (元桜美林大学教授・防衛研究所研究員)

ホームページ(http://kenpou-jieitai.jp

 

〒151-0053 東京都渋谷区代々木2-12-2 カタログハウス気付

(事務局担当=松竹まつたけ伸幸)

FAX  03-5365-2313

メール kenpou.jieitai@gmail.com

 

 

 

〈回答用紙〉

 

一の①について(いずれかに○をして理由をお書きください)

賛成 反対 その他

理由

 

 

 

一の②について(いずれかに○をして理由をお書きください)

賛成 反対 その他

理由

 

 

 

二の①について(いずれかに○をして理由をお書きください)

賛成 反対 その他

理由

 

 

 

二の②について(いずれかに○をして理由をお書きください)

賛成 反対 その他

理由

 

 

 

三の①について(いずれかに○をして理由をお書きください)

賛成 反対 その他

理由

 

 

 

三の②について(いずれかに○をして理由をお書きください)

賛成 反対 その他

理由

 

 

 

政党名

 

担当者のご連絡先等