本日午後、以前紹介したトークイベントで「聞き手」を務める。聞く相手は渡瀬夏彦さんで、今年の1月に刊行した『沖縄が日本を倒す日』の著者である。主催者がこの日に向けて本を販売して下さっているのだが、すでに100冊以上が売れていて、著者への期待は高い。

 

 昨日打合せがあって、トークのテーマは「沖縄の事を自分事として捉える道筋」にした。難しいけれど、ここに成功しないと沖縄問題の解決はない。

 

 もう1年前になるが、本づくりの一環として玉城デニー知事にインタビューした際、札幌で講演してそのことを工夫している話を伺った。札幌に地図と沖縄の地図を重ね合わせて、米軍基地が札幌にあるとこんな感じなんですよと話したそうである。

 

 私もそこをいつも悩んでいる。11年前、普天間基地のある宜野湾市の市長だった伊波洋一さんが秋の県知事選挙に出馬するという情報を聞き出し、本をつくった。そのタイトルは『普天間基地はあなたの隣にある だから一緒になくしたい』というもので、ベタだったけれども、どうやったら沖縄のことを自分のこととして考えてもらえるだろうかという模索の反映であった。

 

 『沖縄が日本を倒す日』も、そうした著者の努力がにじみ出ている。その深いところを聞き出し、議論するのが本日の目的である。

 

 前知事の翁長雄志さんが「イデオロギーよりもアイデンティティ」と訴えて「オール沖縄」が共感を呼んだことは記憶に新しい。そう、米軍基地をめぐるイデオロギーで分断されていた沖縄の世論が、沖縄人のアイデンティティで団結することになったわけだ。

 

 しかし、その沖縄の世論と日本本土の世論の隔たりは大きい。本土には沖縄のアイデンティティに共感する人もいて、本日の参加者なんかはそれでがんばるのだろうけれど、そこにとどまっていると大多数の人々の行動を変えるまでには至らないわけだ。

 

 「アイデンティティよりも○○○」という道筋を見つけられるのか。そのための議論ができればうれしい。