先日、「共産党綱領と『自衛隊』」という記事を書いて、時事通信の「自衛隊活用批判に反論 志位氏」という配信記事を取り上げ、「誤配信」ではないのかと書いた。だって、時事通信は、共産党の自衛隊活用の方針について、志位さんが「「急に言い出したことではない。2000年の党大会で決定し、綱領に書き込んでいる方針だ」「批判をするときは勉強してからにしてほしい」と語ったと書いているのだが、綱領にはそんなことは一言も書いていないからだ。

 

 けれども残念ながら誤報ではなかったようだね。昨日の「赤旗」は、この同じ志位さんの発言を記事にしている。そこで、志位さんが「万が一、日本に対する急迫不正の侵略が起きた場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を用いて国民の命と日本の主権を守り抜く」と表明した上で、以下のように述べたと書いている。カッコ付きで引用しているので、「赤旗」の主張ではなく、志位さんの言葉だ。

 

「この方針は急に言い出したことではありません。…04年に改定された綱領に書き込んでいる方針です。…他党を批判をするときは、勉強してからにしてほしい」

 

 時事通信の配信と全く同じだ。先日の記事で綱領を引用して書いているように、綱領にはそんな記述はどこにもないのに。

 

 いや、党首とはいえ、記者会見で急に問われて、咄嗟に記憶違いのことを発言することはあり得るだろう。党大会では自衛隊活用の方針を決めたのだから、その印象が強くて、綱領にも書いてあると思い込むような場合だ。

 

 だけど、「赤旗」で活字にして出す場合、普通だったら綱領を確かめてみるだろう。志位さんがそれをやらなくても、「赤旗」編集局は誤報をしないために自分で確認を取るのが新聞社としての責任だろう。

 

 「赤旗」は確認をとらなかったのだろうか。それとも確認をとったけれども志位さんに間違いを進言しなかったのか、進言したけれどもはねつけられたのか。いずれにせよ政党として深刻な問題ではある。一体どうなっているんだろう。

 

 ちゃんと収拾しないと、傷がどんどん広がってしまう。もう、こんな記事が出ているし。

 

 「赤旗」記事のタイトルは正しい。「憲法九条と国民の命の両方を守り抜く」という言葉だ。しかしそれが簡単ではないので、みんな苦しんでいるのである。その苦悩が滲み出るような対応が必要ではないのか。