本日発売の『ポスト資本主義のためにマルクスを乗り越える』。次の日曜日の「赤旗」に広告を掲載しようとしていたが、昨日、掲載拒否の連絡があったそうだ。

 

 まだ発売にもなっていないのに、なぜだろう。鈴木元さんが著者だからという理由ではないだろう。だって、この間、『コロナ後の世界』とか『もう一つの大学紛争』とかを出してきたけれども、一度も広告掲載が問題になったことはなかったのだから。

 

 そもそも鈴木さんは、高校生の時に社会主義に目覚めて、以降の60年、そのために全力で戦ってきた人だ。大学紛争の当時は立命館大学にいて、10年後に入学して学生運動に身を投じた私などにも、「東の田熊(全学連委員長だった)、西の鈴木」という伝説を聞かせる人がいたほどだ。

 

 その後、京都で共産党の専従となり、青年学生部長とか選対部長なども歴任した。途中で専従を辞めて立命館大学の総長理事長室長になった経過は複雑なようだが、現在でも、住んでいる地域の共産党後援会で会長として奮闘しておられる。

 

 そういう人の著作でも、「赤旗」には許せないというのが、どうにも困ったことである。おそらく発売前にいち早く入手して内容を読み、「ここが問題だ」とご注進した人がいたのだろう。もしかして、中国の評価とかマルクスの基本理論とかの問題かもしれないが、一番可能性があるのは、第5部第4章「変革主体について、大衆運動・政党のあり方についての探求」のところかもしれない。

 

 ここで鈴木さんは、連合政権を目指す時代では政党の政策も相対的なものになり「我が党だけが正しい」と言えなくなっていくこと、運営のあり方も全員一致制では成り立たなくなっていることなどを論じておられる。さらに、党首を含めた党指導部の任期制、定年制、党員による直接選挙の必要性についても言及している。

 

 60年以上も共産党を愛してきた人の話を読者から隠そうという「赤旗」。そんなやり方で、共産党に未来があるのだろうか。