(某行政区9条の会・新日本婦人の会・平和ネット3.5講演会の記録)

はじめに

────────────────────

 9条の会、新日本婦人の会、平和ネットのみなさま。本日はお招きいただき、ありがとうございます。

 冒頭に司会の方が私の紹介をしてくれました。「左翼・革新勢力のなかでユニークな立ち位置を占めている」ということでして、それは事実なんでしょうが、できればユニークというのではなく主流になりたいと思って、日々、努力をしております。

 

 そのユニークさの象徴が、これも紹介のなかにありましたが、「自衛隊を活かす会」の事務局長をしているということです。「自衛隊を活かす」という言葉が聞こえて、一瞬、会場がどよめきました。9条の会に招かれるとよく体験することですが、「自衛隊」と耳にした途端、「敵がやってきた」「右翼が来た」と感じる人もいるようです。

 

 けれども、わが「自衛隊を活かす会」は、ちょうど一年ほど前にも、兵庫県9条の会と共催して、敵基地攻撃論をテーマにシンポジウムを開いたような会です。発足したのは8年前ですが、6年ほど前に大阪で開催した市民相手のシンポでは、京都の弁護士9条の会事務局長の小笠原弁護士にも推薦で名前を出していただきました。そもそも、現行憲法下でどんな防衛政策が可能かを探求する会として発足したもので、代表は元防衛官僚の柳澤協二さんで、2015年の新安保法制の議論の際には、防衛官僚の出身ながら「反対」の論陣をはって注目された方です。

 

 ところが、護憲派のなかでは、やはり「自衛隊」と聞くと瞬間的に身構える傾向があります。10年前以上に発足した9条の会は、少なくとも全国組織のレベルでは、これまで自衛隊を否定するとか廃止するとか、そんな主張をしたことがありません。憲法学者の小林武さん(沖縄大学客員教授)がよく言われることですが、9条の会は、自衛隊を廃止するという人も、専守防衛の自衛隊を支持するという人も、武力を伴わない自衛隊の海外派兵なら支持するという人も、いろんな主張を包含する組織なのです。そういう不一致点は留保して、自衛隊が海外で戦争するようになることには反対しているのです。

 

 でも、行政区単位では、なかなかそうなっていない現実があります。ですから、私が本日お話しするようなことが、どうしてもユニークに聞こえてしまうということが起きてしまうのですが、じつは国民の常識からすればそうでもないのだということを、最初に述べておきます。