ブースター接種の副反応で、38度の熱発です。仕事ができないから、仕事ではない(無責任に書けるということではありませんが)ブログ記事でも書いて過ごします。明日からの出張、大丈夫かなあ

 

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 佐渡金山の世界文化遺産への登録問題は、いつものお決まりの構図ができつつあるようだ。右翼の側が「歴史戦だ」「日本の正当性を世界の舞台で堂々と訴えるのだ」と意気込み、左翼の側が「朝鮮人強制連行を認めない日本の側に問題がある」と反論する構図である。

 

 この構図は、ナショナリズムにかかわる問題だから、「祖国」を擁護する側が優位に立ちやすい。極端な話をすると、第一次大戦に際して、それまで「反戦」を掲げていたヨーロッパの共産党(社会民主党)までが、世論におされて「祖国防衛戦争支持」の立場に立ったことでも分かるだろう。日本の15年戦争でも、侵略反対を掲げた共産党は壊滅し、戦争が終わってからそれを誇ることしかできなかった(貴重なことだけれど)。

 

 要するに、ナショナリズムをめぐって感情と理論が対立するとき、どんな立派な理論を提示しても、国民には感情的に受け入れられないのだ。だから、次々と立派な理論と学問上の根拠を国民に示すことも大事だが、国民がどんな感情を抱いているのかを真剣に考慮し、その感情にあった打ち出し方をすることが求められる。ましてや、国民の共感が広がらないからといって、国民の理解力の問題に還元するのは大きな間違いである。

 

 佐渡金山と朝鮮人問題も、歴史学上の成否はともかく、国民感情に訴える右翼の側が世論的に優位になり、「日本の左翼はいつも韓国の味方」ということになる。とりわけ韓国を嫌う現在の国民感情のもとで、議論がすすめば進むほど、左翼が世論レベルで劣勢に立たされていく(参議院選挙を前にして)という、これもいつもの構図である。

 

 私としては、この種の問題では、「堂々と主張する右翼」というところを突き崩さないと、いつものコースを辿るのだと考えている。逆に、左翼の側が堂々としているように振る舞わなければ、第一次大戦時の左翼のようになってしまう問題でもある。

 

 佐渡金山の問題では、報道を見る限り、安倍晋三氏が「歴史戦だ」をわめき立て、右翼陣営を奮い立たせているようだ。だから、その安倍さんこそ実はこの問題では日和りまくっており、もし登録が実現しないとしたら、それは安倍さんの責任に他ならないことを、広く訴えていく必要があると考える。実際、それは十分に言えることなのだ。

 

 以下、安倍晋三の5つの弱腰を論じてみたい。(続)