『はじめての防衛白書』の最大の問題点はウソがあることだ。子どもに対してウソを教えてはいけない。

 この間の防衛政策の焦点は集団的自衛権の容認であったことはいうまでもない。防衛省のホームページでもそれは正直に書かれている。

「これまで政府は、この基本的な論理のもと、「武力の行使」が許容されるのは、わが国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてきました。
 現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至りました。」
 
 この変更に賛成するか反対するかは別にして、変更されたのだから、しかも日本の平和と安全に大きな影響を与えるのだから、国民に対して正直に伝えなければならない。ところが子ども向けにはそうなっていない。日本の防衛の基本政策は専守防衛であるとして、次のように書かれている。
 
 「専守防衛とは、外国から武力による攻撃を受けた時にはじめて防衛力を用い、その場合であっても、日本を守るために必要最小限のものにとどめるなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢のことをいいます。」

 ここも含めて、他国が武力攻撃を受けても日本が防衛力を使うようにしたことは、どこにも書かれていない。子どもに向かっては説明できないような変更だったということだろうか。(続)