日本政府は強制連行はなかったと強調しています。それは構いません。日本政府がユネスコの場で約束したのは、「1940年代に……、その意思に反して連れて来られ、厳しい環境の下で働かされた多くの朝鮮半島出身者がいたこと」を展示するということでした。だから強制連行という言葉を使わずとも、その約束通りの展示をすればいいのです。

 しかし、そこに日本政府なりのジレンマはあると思います。「意思に反して連れて来られ」たという展示と強制連行されたという展示と、どこをどう違えれば表現できるのでしょうか。それができないから、現在のような展示になっているのかもしれません。読者のみなさんなら、どう区別するでしょうか。(続)