本日1面トップ。「米軍訓練空域 都心上空 勝手に設定」と見出しにある。

 

 この間、東京都心上空での米軍機の低空飛行が問題になってきた。都心中の都心である六本木に、ヘリポートを備える米軍基地「赤坂プレスセンター」(運動家は「麻布米軍ヘリ基地」と呼んでいる)があり、横田基地に降り立った要人を都心まで運ぶために使われているのだが、最近、基地間を移動するというものとは違った飛び方をしているというのだ。

 

 経路も異なるし、低空で飛んでいる(日本の航空法では人口密集地は300メートル以下を飛んではならないのに)。それで基地間移動の最中に要人に観光地を見せているのではとか、そのために鑑賞しやすい低空で飛んでいるのではとか、言われていたのだ。しかし、飛ぶ様子から「これは訓練だ」と言う人もいて、謎に包まれていた。

 

 その謎のヒミツが本日の「赤旗」で解明された。都心上空に横田基地所属のヘリである「UH1トレーニングエリア」が設定され、キャンプ座閒、厚木基地、横須賀基地などを結ぶ空域が訓練区域になっているというのである。2013年に開かれた横田基地主催の「関東航空機空中衝突防止会議」に出された資料で、この会議には自衛隊も参加したと防衛省も認めているので、確かな資料であろう。

 

 この資料を提示して衆院内閣委員会で質問した塩川鉄也議員(共産党)に対して、防衛省は、「東京都上空に米軍訓練のために提供している空域はない」と答弁したという。しかし同時に、米軍機がこの空域で訓練することは認めているのである。

 

 これまでも全国各地で低空飛行訓練の被害が報告される度に、政府は同じ態度をとってきた。日本側が訓練空域を提供することはないが、米軍が訓練するのは自由だ、日米安保条約の目的達成のためだから当然だというのが、日本政府の態度だった。しかし、これまで低空飛行訓練が問題になってきたのは地方都市が多かったけれど、今回は日本で一番人口の多いところだから、大きな問題になってこざるを得ないだろう。

 

 それにしても、何の目的でこんな訓練を開始したのか。都心上空での訓練が必要とされる事態って、UH1ヘリにそんな任務が与えられる場合である。北京上空をUH1ヘリだけが飛ぶなんて考えられないから、おそらく台湾の台北上空における有事の輸送を想定した訓練なのかもしれない。それを台北で実施したら中国の反発が激烈になるから、近場の東京でということなのだろうか。

 

 なかなか厄介な問題だ。しかし、いずれにせよ、全容解明が必要である。政府の論理がなぜこんなものになるのか、そのどこに問題があるのか。関心のある方は、是非、『〈全条項分析〉日米地位協定の真実』をお読みください。