昨夕、NHKBSで放映された「アナザーストーリー 日米地位協定の波紋 その時沖縄は沸騰した」を見た。ちょっと複雑な気持ちになった。

 番組は1995年の少女暴行事件を出発点として、地位協定改定問題がどう動いたかを描き、それが普天間返還問題に発展していく経過を追ったものだ。新しく発掘された事実があるわけではなく、当時の経過を改めて思い起こさせてくれるという感じのものである。

私は94年内に共産党の政策委員会勤務となったが、目まぐるしい日々だった。翌年が戦後50年ということで戦後補償問題の提言を起草する役割が与えられたのに加え、米軍機が低空飛行訓練最中に高知の早明浦ダムに墜落し、その問題でも対応に追われていた。そこに発生したのがこの事件だったのである。

昨日のテレビを見てハタと思ったのは、、リベラルと言われた人々の情けなさだった。対米関係におけることだけれど。

地位協定改定を沖縄が求め始めると、それを押し留めたのが河野洋平外相だった。直ちに地位協定改定の議論をするのは走りすぎだと言っていた。ここで改定に行き着けなかったところが、その後もすべて運用でごまかすことにつながっていく。
しかもそう言えば、この時の首相は村山さんだったんだよね。なのに沖縄問題で何の積極的な役割を果たせなかった。

いや村山さんだって戦後50年の談話ではそれなりのことをしたのだ。河野さんだって慰安婦問題の意味のある談話を出した。

だけど、そういうリベラル派が揃いも揃って、アメリカを前にすると萎んでしまう。何か法則的なものがあるのだろうか。その後の話になるけれど、鳩山さんだってオバマと2回も会ったのに辺野古のことは持ち出さないままだった。

その中で唯一、普天間のことをクリントンの前で口にできたのが橋本さんだった。それも沖縄の人々が返還を求めているという言い方であり、日本が求めるというものではなかったわけだが。

それでも一国の首相がそう言ったということで、この問題は動き出した。アメリカの大統領を前に基地の返還を求める言葉を出すのは大変なことなのだろうけれど、それにしてもリベラルがそれをまったく言えなかったということの意味は深く考えねばならない。

野党連合政権が実現した時、いやあの時はダメだったが今回は大丈夫だと、国民を納得させられるものを、選挙を前に見せられるのだろうか。ぜひ見せてほしい。