今月12日に、核兵器廃絶日本NGO連絡会の主催で、核兵器禁止条約と日本の核軍縮政策に関する討論会が開かれた。与野党の代表が集まったのだが、立憲を代表して参加した岡田克也・元外相は、次のように発言したという。

 

 「北朝鮮や中国、ロシアが核を保有しており、安全保障のためには米国の『核の傘』に頼らざるを得ないため、条約には参加できない」(朝日新聞2月13日)

 

 この発言を受けて驚いたのか、共産党の志位さんが2回目の発言を行ったようだ。「赤旗」によると次のように主張している。

 

 「野党は、核兵器禁止条約への署名・批准を、共通公約として選挙をたたかい、選挙に勝って新しい政権をつくって、その政権が(条約に)署名・批准すれば、世界にどれだけのインパクトを与えるか。……それを実現すべくがんばっていこうといういことを訴えたいと思います」

 

 昨年8月にも同じ主催者で開かれたが、その際、岡田さんはまだ無所属で、次のように発言していた。中日新聞が要約した発言である。

 

 「核禁条約は単純に入ればよいわけではないが、日本は核兵器が人道主義に反すると明言し、方向性は同じと確認すべきだ」

 

 立憲に入って、後退したように見受けられる。枝野さんも、8月の会議で、日本が米国との同盟関係を維持しながら核禁条約に参加するための条件を、国会の中で与野党が話し合うべきだ」として、いまは参加の条件がないことを明言していたから、大きくまとまった立憲が、その態度を固めたようだね。

 

 私としては、志位さんと同じで、野党が核兵器禁止条約の批准でまとまってほしいという立場だ。しかし、問題はそれを求める共産党が、立憲との間で安全保障を議論する同じ土俵に立てないことにあるように思う。

 

 だって、国民の多くは(立憲もだが)、核兵器を日本の安全のために必要だと考えている。だから、条約に入って核兵器に頼らない安全保障をと言われた場合、最小限、「では、どうやって日本の安全を確保するのか」という対案を提起しなければならない。

 

 ところが、共産党にはその対案がないので、立憲などとの間で議論がかみ合わないと思うのだ。いや、対案はあっても、それが「安保を廃棄する」とか「自衛隊を解消する」とかいうものでしかないので、相手にされない。核も安保も自衛隊も、国民は防衛のための手段だと捉えているのに、それを全部なくすのが共産党の基本政策だというのでは、どこまで行っても議論は交錯していかない。

 

 せめて、自衛隊解消は将来の基本政策であって、「現在の国際情勢のもとでの基本政策は専守防衛」という立場に立てるなら、核抑止抜きの専守防衛ではどんなことが考えられるかが、野党の議論の土俵に登ってくると思うのである。残念なことに、このままでは、野党間で防衛政策の議論ができないから、核兵器禁止条約の議論も進まないだろう。