一昨日、『資本主義を改革する経済政策』のことを書き、昨日、『マルクスの「生産力」概念を捉え直す』のことを書いた。別のテーマだったのに、なんだか同じような中身になっているしまい、それで気づいた。
なんだ、同じことを別の角度から攻めていたんだ。そうだったのか。
一方で、この日本で求められている経済政策を深めていると、どうしても資本主義の枠内で考えていてはダメだと感じる。だって、利潤の獲得を最優先する資本主義の原理がのさばっているから、これだけ不安定雇用が拡大し、コロナに弱い社会がつくられ、気候変動の問題も生まれている。資本主義の原理にメスを入れることを頭に置いて経済政策をつくらないと、現実の問題を解決できないわけである。だから、求められる経済政策も、「これは資本主義の枠内の政策ですよ」というのでは、ある種の人には安心感を与えるかもしれないが、現実には通用しないのだ。
他方で、社会主義のありようという問題を深めていると、生産手段の社会的所有という視点だけで社会主義を捉えているのではダメだと感じる。現在、どうがんばってみても、工場や社屋を国営にとか、労働者所有にせよとか言っても、あまりに現実味に欠ける。しかし、企業に社会的責任を果たさせるという合意は現在でもあって、それがSDGsなどとして結実している。それをどの方向に進めれば社会主義と同じ方向に向かうのかを提起できれば、現実味のある社会主義論ということになる。つまり、現在の生産力の下でも、人びとが経済の運営に参加する道を拡大する道筋を提起できれば、それは社会主義につながっていくものだ。
と、抽象的な議論で申し訳ないが、この二つの本が出ることによって、議論が巻き起こってくることを期待したい。もう少し待ってくださいね。