昨日から東京出張。大きな仕事は二つ。

 

 来春、伝統的なマルクス主義者が書く『マルクスの「生産力」概念を問い直す』という本を出すのだが、その著者を招いて新進のマルクス経済学者との対談を実現したいとのオファーがある。その打合せを行うのが一つ。

 

 これは、共産主義運動の転機になる可能性がある。内容的にも、組織的にもである。

 

 内容面ではすでに書いたことがあるが、マルクス主義の核心の一つである「生産力と生産関係の矛盾」について、新しい論点が提示される。伝統的マルクス主義は、気候変動などをあげて、資本主義はものすごい矛盾にあり、社会主義でないと解決しないと指摘するのだが、一方で当面の変革のあり方は「資本主義の枠内だ」とする。そういう捉え方こそ理論的に矛盾していると私は感じてきたのである。

 

 そうなるのは、社会主義に対応した生産関係を実現する展望が見えないからである。そして、伝統的なマルクス主義理解においては、そこまでいかないのは生産力がそれにまだ対応していないからということになって、生産力をあげることが事実上の目標になってしまう。しかし、そうなると資本主義のもとで生産力があがるので、資本主義がいつまでも続いてしまう。その結果、気候変動など資本主義の矛盾はどんどん深刻化してしまう。

 

 そこに別の考え方を提示するのが今回の本である。すでに社会主義の生産関係にふさわしい生産力は実現しているというものだ。もちろん、社会主義を唱えて国民が支持してくれるとか、そういうことではない。しかし、現在掲げるべき政策の内容は、社会主義につながっていくものでなければならない。

 

 そしてそれは、最近の若手のマルクス主義者からも出ている考え方である。ここに両者が交わる可能性があるのだ。

 

 組織的にというのは、そのことだ。伝統的マルクス主義がそうやって年老いていって、若いマルクス主義者と交流が実現できていない。この本ができて、若いマルクス主義者との対談が実現することで、そこに新しい流れが生まれるかもしれない。まだ具体的に書けないので申し訳ないが、乞うご期待である。

 

 もう一つの仕事は、東京事務所の引っ越し。現在の事務所は広くて明るくて便利なのだが、春に始まったコロナ禍で、全員がテレワークに移行することになった。会社に余裕があれば現在の事務所を維持すればいいのだが、大企業だってみんな固定費を抑えるために事務所を縮小している現状で、弊社にもそんな余裕はない。ということで、関連した仕事がいくつかある。やるべきことが山積みだ