24日付の「赤旗」(2面)で、こんな記事があって、笑ってしまった。見出しは、「首相、誤認識で市民批判 『中東派兵は違憲』を『自衛隊は違憲』」。

 

 首相が防衛大学校卒業式で述べた祝辞の記事。護衛艦の中東派兵(2月2日)に反対する抗議集会に関し、「残念だったのは『憲法違反』とプラカードが掲げられていた」と発言したことが主題である。記事が言いたいことは、その日の抗議集会で、参加者は「『自衛隊の中東派兵は憲法違反…』とコールしており、自衛隊の存在そのものを『憲法違反』だと抗議したのではありません」とするものだった。

 

 一瞬、共産党は自衛隊違憲論を撤回したのかと、目を疑ってしまった。もちろんそうではなく、そういう間違った情報を根拠にして、憲法に自衛隊を明記する改憲を正当化することへの批判を述べたものである。

 

 

 集会のスローガンはそういうものだったのだろう。別に記事で書いていることが間違っているわけではない。というか、抗議に集まった市民が自衛隊のことを違憲とは言わなかったと、なぜそんなことを記事にして強調するのか、その意図は分からないけどね。

 

 ただ、安倍首相が、共産党のような自衛隊違憲論があることを、改憲の口実にしていることは事実である。最近の安倍さんは、それ一色みたいな感じだ。最後の砦というか。

 

 そこで、共産党は一度、安倍さんに質問してみたらいいと思うのである。そこまでおっしゃるなら、共産党が自衛隊違憲論を取り下げたら、改憲はしないのですね、と。

 

 だって、それが唯一の根拠である。共産党が取り下げたら、少なくとも国会で、自衛隊は違憲だと主張する政党はいなくなる。安倍さん言うところの、自衛隊を貶めるような政党がなくなるので、安倍さんは改憲の根拠を失うのだ。

 

 「本当に取り下げるんですか」と、疑り深い安倍さんは聞いてくるかもしれない。質問しているのは共産党だから、それに答える必要はない。根拠がなくなるのに、改憲の必要性はありませんよねと、ただただ追及すればいいのだ。

 

 そしてもし、「共産党が取り下げれば改憲しない」と答弁するなら、あとは共産党次第である。取り下げて改憲を止めさせるのか、取り下げないで改憲策動をそのままにするのか、共産党が決めればいい。共産党の態度次第でこんな大事な問題の帰趨が決まるって、空前絶後。ぜひ挑戦してほしいなあ。

 

 まあ、安倍さんがそんなことを言うことはないと思うけどね。だって、安倍さんにとって、自衛隊が貶められているかどうかは、あまり大事な問題ではないからだ。改憲したという実績が大事なだけで。

 

 だから、この論争を通じて、自衛隊が貶められていることを安倍さんが実は心配していないことが明らかになればいいのだ。逆に、何の法整備もないまま海外に派遣される自衛官のことを心から心配しているのが共産党だという対決構図ができれば、この戦は勝負がついたということになるのだけれど。

 

 それよりも、いま防衛大学校の卒業式を記事にするなら、他の学校の卒業式はコロナ自粛で中止に追い込んでおいて、なぜ防大だけは特別なのかということでしょ。論点がズレまくり。