というタイトルの本をつくっていたが、昨日ようやく印刷所に入れることができた。と思ったら、入れたデータが壊れていて、昨夜から先ほどまで、大あわてだった。なんとか乗り越えたところ。

 

 自衛隊を活かす会の編集で、サブタイトルは「安全保障の大前提を疑う」。著者は、伊勢﨑賢治、加藤朗、内藤酬、柳澤協二の各氏である。

 

 結論は本のタイトルが、問題意識はサブタイトルが語ってくれている。私がこの本の「まえがき」を書いているのだが、その一部を引用しておく。

 

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 さらに、とりわけ最近の二年間に重視してきたのが、本書の主題である「抑止力」の研究でした。 抑止力とは何を意味するのか、冷戦時代につくられたこの概念が現代にも通じるのか、などという基本的なことが、安全保障の専門家の間でさえ十分に議論されていません。しかも、そういう状態のままで、「抑止力を強化すれば日本は安全だ」ということが安全保障の自明の大前提とされ、誰も異を唱えられない状態になっています。そういう現状に対して、根源的な疑問を投げかけ、新しい安全保障の哲学を打ち立てるべきだと考えたのです。

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 そう、この本がめざしたのは、新しい安全保障の「哲学」づくりである。そのために、2年間もかけて、防衛研究所の方々や国際政治学者など、いろいろな方々のお話を伺い、意見を交換してきた。その集大成である。

 

 本日の新聞を見ると、野党が、日米安保や自衛隊に関する政策の違いをどうするのか、今後話し合うことになったという。それならば、この本は参考になるのではないかなあ。違うといったって、政権をともにしている間だけにせよ、安保や自衛隊をどう運用するかについては共通した政策が必要なのだから。違いを留保するというだけでは政権はともにできない。

 

 この本の最後には、自衛隊を活かす会の「抑止に替わる安全保障に向けて」という「提言」を載せている。さらに、会が発足して以降に出した「提言」をまとめて、20ページのパンフレットもつくった。関心のある方には無料でお渡ししようと思っている。抑止に替わる政策を実現するための世論づくりに少しでも役立てばと願っている。