わたしが住んでいるところは、JRの駅にも徒歩で2~3分、阪急の駅にも徒歩2~3分という、超便利な場所である。しかもというか、だからというか、そのJRの駅と阪急の駅の間は商店街になっていて、シャッター通りはどこの世界の話かという繁盛ぶりだ。

 

 当然、競争も激しい。昨年秋、この周辺で数軒目になる焼き鳥屋さんがオープンして、値段もリーズナブルで美味しいというので、大流行だ。わたしも一度だけいったけど、評判に違わなかった。

 

 他の焼き鳥屋さんが影響を受けるかと思ったら、真っ先に反応したのは、意外にも「なか卯」だった。すぐに店を休み、年明けにリニューアルしますと宣言して、店内改装を続けてきた。そして、先日、写真のようなアルバイト募集広告を出したのだ。

 

 ま、ここまではただの前置き。びっくりしたのは、このポスターの中身である。

 

 「時給」は最近どこも増えているので、驚きはしない。一番下にある「待遇など」というところ。「日払い制度あり」、「食事補助あり」も当然で、「正社員登用制度あり」も常識だろう。一番下の行、赤丸で囲んでみたので、そこを見てほしい。なんと、

 

 「労働組合あり」となっている!

 

 そうなんだ。いまや、労働組合があることを会社が宣伝しないと、アルバイトに応募してくれない時代になっているんだ。会社が自分の生き残りのために労働組合を必要とする時代なんだ。

 

 いや、もちろん、否定的なことはいくらでも言える。たとえばこのポスターにしたところで、よく見ると、「従業員相談窓口(労働組合)あり」となっている。労働組合の役割をただの相談窓口に限定しているようでもあるし、おそらく会社と一体化したものなのだろう。

 

 ただ、それにしても、いったんこうやって公認されたら(別に会社の態度がどうであれ公認されているんだけど)、アルバイト社員に対して会社を怖れないで大丈夫と説得できる材料にはなる。労働組合が労働者の待遇改善を求めて闘う上でも大事な材料にもなるだろう。

 

 このしばらくの間、外食産業での待遇切り捨てが、他の産業にも波及してきたと思える。そうであるが故に、反撃も外食産業から興せたらいいなと感じる。