週末の金曜日、「自衛隊を活かす会」は、日本における軍事法廷の是非をテーマにシンポジウムを開催しました。会場の定員を超える参加者があり、会場の衆議院第二議員会館の通行証が足らなくなって開会が5分ほど遅れ、ご迷惑をおかけしました。

 

 午後1時から5時まで及んだ4時間の議論は、同会のホームページで近く公開します。この問題を勉強しておくことは、改憲か護憲かにかかわらず大事なことだと思いますし、自分の主張に深みを与えることになるでしょう。「改憲か護憲かを超えて」がサブテーマでしたが、それにふさわしいというか、真剣に戦争犯罪のことを考えていれば、立場の違いを超えて議論できるし、一致できる分野も多いことが分かります。

 

 シンポジストは以下の4人。京都女子大学の教授で、ドイツの軍事法廷(といっても兵士の裁判も普通の裁判所で行われる)の経験を知る市川ひろみさん。アメリカから東京外大の大学院に来ていて、日本における軍事法の不在をテーマに修士論文を書いたナタニエル・クラフトさん。航空自衛隊を一等空佐で退官後、軍事研究者として専門書も上梓し、自衛隊の法的地位についても発言をしてきた坂本祐信さん。数多い日本の弁護士のなかで、自衛官を原告とする裁判をもっとも多く手がけている佐藤博文さん。そうそうたるメンバーでした。

 

 終了後の懇親会で、「なぜこれだけの人を集められたのか? 松竹さんのほそぼそとした糸がどこかでつながっていたのか?」と聞かれました。いやいや違うんですよ。

 

 クラフトさんは伊勢﨑賢治さんの推薦なので、今回、初顔合わせでしたが、他の方は違います。市川さんとは、何年も前から「軍事法廷」の議論を自衛隊を活かす会でやりたいと考え、ドイツの経験についてお話を伺ってきました。坂本さんは、これも自衛隊を活かす会の活動を通してですが、現行の自衛隊法が抱える問題点についての論考を送っていただき、その高い水準に感動して何回かやり取りをさせていただきました。佐藤さんとは、学生(運動)時代からの何十年もの付き合いです。私が編集者としてデビューした『我、自衛隊を愛す 故に、憲法九条を守る』だって、佐藤さんが北海道で、箕輪登元防衛政務次官を原告団長としたイラク派兵違憲訴訟をしていたから、日の目を見ることになったんです。 

 

 ということで、突然思いついたシンポジウムではありません。いちおうそれなりの努力の結晶ですので、動画の公開を楽しみにしていてください。