<今日の表紙>蕾が膨らんできたモクレン

青空に映えて綺麗です。

街路樹のモクレンは3月になればあちこちで咲き出します。

 

19日の朝日歌壇では、若者の歌よりもお年寄りの歌がかなり多かったようです。

 

週刊朝日が休刊になることを詠んだ歌もちらほら

 

スマホなど無かった時代の情報源「週刊朝日」が休刊するとふ 

              (川越市)西村健児

 

こういう歌を詠む人は70歳以上でしょう。

 

そのほかにお年寄りならではという歌が多かったです。しかも、僕的にはなるほどなるほどと妙に納得する歌ばかりでした。

 

では、僕が印象に残った四首をどうぞ!

 

大寒に思ひ出したり鉄釜の五右衛門風呂の湯のやはらかさ

                 (鹿嶋市)大熊佳世子

郵便局往復五十分あるくから歌壇投稿は健康にいい

                           (ひたちなか市)篠原克彦

この脳に記憶は在るのだ問題はそれを取り出す路のないこと

                (浦安市)中井周防

人口の股関節身に納まって雑巾がけのできる嬉しさ

                 (東京都)一町田夏子

 

四首とも人生経験豊富な人の歌のようです。

 

僕は最初の大熊佳世子さんの歌にある五右衛門風呂を人生で2度体験しました。

 

1度目は、僕が小学校1年2年の時に大分県中津市に住んでいたときに僕の家の風呂が五右衛門風呂でした。

 

五右衛門風呂はこの歌のように鉄釜でしたので入る時に板を敷いて直接お尻に鉄が当たらないようにして入りました。この方式は五右衛門風呂に入る時の常識です。

 

1950年代でしたのでまだまだ内風呂が珍しい時です。

 

そして、2度目は大学2年生の夏休みに大阪万博を見学するために友人と尼崎市の埋立地の工事現場でアルバイトをしたときのことです。

 

いわゆる飯場と言われた工事現場の合宿所に泊まり込みました。そこの風呂が大きな五右衛門風呂でした。

 

この風呂に入るには友人と2人がかりで大きな板をイチニッサンで沈めて入りました。

 

衛生状態の極めて悪い現場でしたが楽しく働けました。

 

大熊さんの歌で懐かしい五右衛門風呂を思い出しました。

 

僕も十分歳を取りました。

 

では、僕の五右衛門風呂の歌です。

 

飯場での友と二人でイチニッサン五右衛門風呂の思い出楽し

 

では、五右衛門風呂で釜茹での刑にされた石川五右衛門の辞世の句でお別れします。

 

石川や浜の真砂は尽くるとも世に盗人の種は尽きまじ