【70】
2010(H22)年の話です
前の事業所にお世話になっていた時
配食サービスのお弁当を
父や母が
食べ残したりすると
ヘルパーさんから
そのことを聞いたケアマネさんから
我が儘だ とか
問題行動だ とか
言われたことがある
食事の時間以外に
父や母が
何かを食べようとすると
食事の時間ではないから
と
食事の時間まで我慢するように言われたり
食べ物を隠されてしまったこともある
父や母に
物を買い与えないように
とか
甘やかさないように
とか…
私にも
そんな連絡をしてくることもあった
自分の家に暮らしているのに
自分のお金で買ったものなのに
なんで他人に
我慢しろ だの
甘えるな だの言われて
管理されなきゃいけないんだ
父は時々
そう言っていたけれど
そんな苛立ちが
態度や顔にも出ていたのだろうね
前の事業所のヘルパーさん達からは
父は
気難しくて 我が儘な人
そう言われていた
夫婦共に認知症で要介護
生活上
できないことも多くなり
介護支援を受けることになったのだけれど
認知症になんかならなかったら
父だって
母だって
畑で美味しい野菜を作り
田んぼで美味しい米を作り
毎日
自分達が食べたいものを食べ
自分達が
生きたいように暮らせていたんだと思う
いくら娘でも
父や母の望むことが
全てわかる訳ではないし
例えわかったとしても
全て叶えてあげられる訳ではない
なんでもやってあげることが
優しさ だとも
良いこと だとも 思ってはいない
けれど
事業所側の
時間と金額と効率の枠の中だけ
で 決められた
現実の 父と母の生活に
あまりにも不自由さと貧しさを感じて
やるせない思いがしていた
やむを得ず人の力を借りている…
人にやってもらわなければ
生活できないのだとしても
やってもらう側には
自分だったら こうしたい
そういう思いは 少なからずあると思う
支援する側にしてみたら
なるべく
手間を省いて効率良くやりたい
だから
そこからはみでるような
やってもらう側の行為は
全て
わがままで自分勝手な行為 と とられがち
現に 父はそうだった
新しい事業所の
ケアマネさんやヘルパーさん達は
少しでも
父や母が望む
日常の生活ができるように…
そう言って
寄り添ってくれるタイプの人達だった
父が
米をとぐことも
ガスを使って炊こうとすることも
食事の時間以外に
戸棚を開けて
残り物を食べようとすることも
遮(さえぎ)らず
黙って見守くれていた
自分のしたいと思うこと
それがどんなに小さなことであっても
できた と思える
そのことが
父の安心と安定に繋がる
以前
介護相談をした際
窓口のスタッフさんに
介護は
介護する人の資質の問題が大きい
そう言われたことがあったけれど
介護する人に必要な資質
それは
決して
介護する人にだけ必要なもの なのではなく
人として
当然 必要なもの なのではないか…
新しい事業所の
ヘルパーさん達を見ていて
それが実感できる思いがした
父や母が
穏やかに暮らせるようになったのは
新しい事業所の
ヘルパーさんやケアマネさんのおかげ
ありがとうございます
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