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2009(H21)年の話です




忘年会の翌朝
Cさんのお宅に伺った

前日の総会から継続している状態のまま
お会いしたかったから
事前に電話もしなかったし
手土産も無し

ほぼ 奇襲に近い 

奥様が出ていらして
ご挨拶をしたけれど
在宅だというCさんは 顔を出さなかった

でも
このまま
あぁ そうですかとは帰れない


いきなり
土間に正座した私を見て


びっくりした奥様が
奥へCさんを呼びに行く

奥から出て来たCさんと 
目が合った私は

正座したまま 土間に頭を下げた



ちょっとの間があって


頭あげてくれ


頭をあげた私に


しつこいな  あんた
誰に似てんだ?


そう言って 
Cさんが やっと笑ってくれた



Cさんのお宅には
子どもの頃
お蚕(かいこ)ひろい のお手伝いに
よく行っていた

家どうし
繁忙期には
行ったり来たりして
お互い 作業を助け合う
親しい間柄だと思っていたから
総会でのCさんを見た時は 
ちょっと意外な感じがしたほど



父との
詳しい話は聞かなかったけれど

あんたに
ひどいことを言って悪かった

Cさんは
そう言って謝ってくれた



その朝の
Cさんのお宅での できごとは
村の他の人は知らない (はず)


もし 
村の人達がいる総会の場で 
これをやっていたら
Cさんは

Yさんの(←父のこと)娘に 土下座させた男
土下座させられた訳ではない けどね

って
ずーっと 言われかねない

だから
総会では したくなかったんだ






総会に出て
良かったなぁって思ったよ

村の人達が
それまで ずっと言えずに ためていた思いを
その激しさのまま 聞けたんだから

その全部を
受け止められたとは
思っていないけど

あの席で 
私に投げつけられた言葉は

あの日 
私が総会に出ていなかったら

父が亡くなった時の
お葬式の席で
亡くなった父に向けて
投げつけられた言葉だったかもしれない
あ...
もしかしたら…
お葬式にすら来てはもらえなかったかもだ な


それを考えると
ぞっとする


ほんと
そうならなくて良かった

そのやり方が
正しかったか 正しくなかったか なんて
そんなことは わからないけど

新年に争いを持ち越すことなく
おさめることができて
心から
ほっとしたのを覚えてる






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