もうすぐ、熊本地震から2年になります。テレビや新聞では、相変わらず特集を行っています。これって来年もあるのかな?

 熊本地震でお亡くなりになった方、けがをされた方、家を無くされた方、ここにお見舞い申しあげます。

 しかし、私はいつまでも振り返らず、前向きに生きましょう。そこで、私が自信の時のことを書いた小説を、数回にわたりご紹介します。

 

  小説「地震にて」

 それは、お怖しゅう揺れでございました。家の中の何もかもが、滝の水のように崩れ落ちてきたのでございです。深夜のことでございましたので、ほとんどの皆様は、褥の中にいらっしゃていたと思います。床の下から突き上げる力と、頭上から落ちてくる物とで、約一分間の間、生きた心地はしなかったろうと存じ上げます。

 思へば、二日前のことでございます。午後九時半過ぎに大きな揺れがございました。わたくしも地震自体は何度か経験しておりましたが、最初のゴッーという揺れが長うございました。次に縦の揺れが続きました。生まれてから今まで、大概の揺れには慣れてきておりましたが、この揺れは初めての体験でございました。ご多分に漏れず棚の物は落ちるわ、様々な扉は開いて中の物が落ちるわで大混乱を迎えました。揺れが収まり、落ち着いたところで近くに住む母者の家に赴きました。母者は一人暮らしをしております。家自体は十年ほど前に建てたものでありますので安心かとは思いましたが、一応心配でありますので、見に行ってみることにいたしました。

 母者の家も、棚から物が落ち、台所はいろいろな物が散乱しておりました。物を捨てるということをしない母者の家には、様々な物が置いてあります。それらが全て倒れておりました。一応無事を確認しましたが、帰り際に私が「東北の震災の時も、4,5日前に地震があって、それからあの地震があった」と申しました。まさかそれが本当になるとは。

 さて、本震はそれから二日の丑三つ時にやってまいりました。当然私も熟睡中でありましたが、さすがにあの揺れでは眼を覚まされました。いや、落ちてくるものに眼を覚まされたという方が正しいかもしれません。揺れが収まると、私の布団の周りには、ありとあらゆる物が散乱しておりました。本やDVD、釣り用のクーラーなど、ここで述べることができないほど多種多様な物がありました。さすがに隣に寝る鈍感な奥さんも、眼を覚ましておりました。「大きかったわね」などと案外呑気なことを申しておりました。(つづく)