田口ランディ『被爆のマリア』文春文庫

 

先日、日曜美術館を観ていたら、長崎のカトリック浦上教会にある「被爆のマリア」が紹介されていた。

 

「そういえば、以前『被爆のマリア』という小説を読んだことがあるな」と思い、読み返してみたところ(内容は全く忘れていたけど・・・)

 

とんでもなく名作だった(なぜ1回目で分からなかったのか不思議)。

 

原爆にまつわる4つの短編(永遠の火、時の川、イワガミ、被爆のマリア)から成るがすべての作品が素晴らしい。

 

特に、「時の川」と「被爆のマリア」が良かった。

 

それぞれ、身体的、境遇的にハンデがある人たちが主人公なのだが、原爆の地である広島を訪れたり、被爆のマリアとともに生きることで、自分の人生と向き合うというストーリー。

 

戦争や原爆は「理不尽さ」の極致であるが、さまざまな理不尽さを抱えながら、それでも日々を生きる人たちがいる。

 

かなり「沁みる」作品だった。