こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
よく、野党の政治家や経済学者あたりが消費税減税や廃止、社会保険料減額に対しての呼びかけをしていたりします。
耳に聞こえはいいけど、都合が良いのは一瞬だけでしょう。
もしそれが実現すれば「一時的」にはやったー!と思うかもしれないけど、将来の赤字国債はますます増え続け、社会保険料を減らした事で社会保障が貧相になって将来の人々は貧困で溢れかえってしまう事になる。
消費税は景気にあまり左右されずに安定して入ってくる財源だから、社会保障も安定的になる。
景気が悪かろうが消費はそう簡単に控えられないから。
消費税じゃなくて所得税でもって金持ちから沢山の税金を負担してもらうのがいいとも言われますが、一見するとそれが理に適っているように見えます。
しかし、金持ちから徹底的に莫大な税を毟り取ったところで大した税の収入にはならない。
例えば所得(収入ではない)4000万円以上の人に仮に100%税率で納めてもらったところで、税収なんて3兆円に満たない。
ちなみに年間の年金給付は約60兆円。
金持ちから徹底的に税を負担させる事するくらいなら大多数の人が占める所得税5%の人たちに少額を負担してもらった方が10倍ほどの税収になる。
所得税5%の人たちに仮に所得に対して100%負担してもらうとすれば、60〜70兆円ほどの税収になる。
これが広さの怖さであります。
少額でも人数が多いと莫大な額になる。
例えば以前、10万円を日本人口1億2千万の人に支給する事があった。
一人当たりの給付10万は曲がりなりにも多い額ではないけど、それを1億2千万人もの人に配ると12兆円にもなってしまう。
これが広さの怖さ。
少額でもその人口が多いととんでもない額になるという怖さを逆に利用したのが消費税。
世界が国民に対しての社会保障を充実させていこうとした18〜19世紀あたりから、間接税である消費税などを導入して普及させていった。
それは国民に対して社会保障をする時に、前述したように所得税やら法人税みたいな直接税ではとてもじゃないけど少なすぎて賄いきれないから。
それよりも1人頭で少額でも消費税という形で負担してもらう事のほうが税収としては莫大になり、所得に関係なく負担するので税収が安定する。
社会保障をしようという時に必要なのは安定性と確実性が必要。
今、高齢者の人や障害者の人、配偶者を失った人などに毎回偶数月に安定的に、そしてほぼ金額が一定した年金が支払われています。
どんなに景気が悪くなろうが安定的に支払われています。
年金はもうもたない!もう破綻不可避!のような事は散々言われてきましたが、そんな事は今から約50年ほど前から言われていた事でありますが、今もピンピンして淡々と年金が偶数月に支払われています。
例えばリーマンショックやら東日本大震災、金融危機などが平成10前後〜20年代あたりにあった時も、特に年金は淡々と支払われました。
これは社会保険料や消費税というのは、景気に関係なく所得に関係なく負担されるものであるからです。
会社側としては社会保険料は売り上げとかそういうものに関係なく負担しなければならない外形標準課税みたいなものなので嫌がられます。
歴史的に社会保険料を引き上げる事を毎回毎回抵抗するのは経済界でした。
社会保険料の事になると必ず経済界からの抵抗を受けます。
利益に邪魔な存在だから。
所得税とかだったら収益が低ければそれだけ低い税率になる累進課税ですが、社会保険料はそんな事関係ないですからね。
平成16年の年金改正の時にこれからは厚生年金の加入拡大をしていこうという事が目標でしたが、厚年に加入させなくていい非正規雇用者など多く雇っている外食産業とか小売産業などから強く反発を受け、結局は厚生年金加入の緩和が始まったのは平成28年になってからでした。
経済界側としては社会保険料を少なくしたいのです。
これはずっと抵抗されてきたし、これからもそれは続くでしょう。
安定的に給付を行うために所得税やら法人税などではなく消費税の方を重視し、社会保険料という景気に左右される事なく徴収される負担をしてもらっています。
これにより今の年金やその他の社会保障給付は景気に左右される事なく、淡々と安定して支払われます。
景気が悪くなれば給付を下げさせてもらいますねとか、停止させてもらう…というわけにはいきません。
(全額税で支給するのであればそのような制限は当たり前に実行されますけどね)
もしそんなに変動が激しいと生活が安定的にならず、いつ給付が下げられてしまうだろうかとヒヤヒヤしながら年金受給者の人たちは暮らす事になります。
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さて、年金の中でも全ての人が原則65歳から受給する今の老齢基礎年金には2分の1の国庫負担(税など)で給付されています。
今の老齢基礎年金満額は816,000円(令和5年度に68歳到達だった人は813,700円)ですが、その半分である408,000円は国庫負担という事ですね。
平成26年4月に消費税が8%に引き上がった時にようやく基礎年金の安定した国庫負担財源が確保される事になりました。
それなのにもし消費税を引き下げるべき!とか廃止すべき!というのは、その国庫負担を減らす事になります。
まあ、減ったとしても毎年お得意の赤字国債を発行すればいいのかもしれませんが、その累積赤字は約1300兆円。
国債を更に乱発すれば、さらに国の借金とやらは促進されてしまうでしょう。
この国債は国が銀行や保険会社に国債を買い取らせて、そこからお金を調達してますが、買い取るためのお金が銀行や保険会社の限界に来た時には国債が供給過剰になって国債価格が暴落する事になる。
いつまでも赤字国債を発行する事がいいわけない。
よく1人あたり国に何百万?借金をしているとか言われますが、人々は国にお金を貸した覚えはないでしょう。
でも人々が銀行などにお金を預けてますがそのお金で銀行が国債を買ったりして、間接的にお金を国に回してるからです。
銀行は人のお金を金庫に大切にしまってるわけではなく、企業などにお金を貸してその利息で収益を得ています。
積もりに積もった赤字国債を解消する時に必要なのは増税。
景気が悪い時などは国債を刷ってなんとか予算を凌ごうとするけど、景気が良くなって「さあ、増税して返済しましょう!」となった時に民主主義の世界だともちろん反対という人が大半になってしまう。
増税を掲げた政治家は選挙に勝てないから、税は上げません!と大衆に迎合して問題を先送りにする。
先送りにした結果誰が苦しむのかというと、将来の人たちです。
つまり今の子供や赤ちゃん、これから生まれる子達です。
彼らが増税で割を食う事になる。
これが将来にツケを回しているという事です。
野党などが提唱している消費税や社会保険料下げるという事はそれにより、消費が活発になり景気が良くなるという事なのでしょうか。
もちろん景気が悪い時は減税という手を使います。
ですが、人々はいつからか消費を控えるようになった。
バブル崩壊以降30年ほど経済が停滞し、失われた10年〜30年とも呼ばれた。
景気が悪いからって当時存在した公定歩合とかを極限まで引き下げたり、公共事業などもやりまくったけど大した効果はなかった。
銀行もお金を貸し渋るようになったりして、景気回復に悪影響を与えた。
よく、景気を回復させるには消費税減税だとか社会保障削減だとか言われるけど、それが全てではなく、いろんな複雑な要因で経済は悪くなったり良くなったりする。
どんな専門家であれ未来を予測する事はできない。
いろんな経済学者たちが未来はこうなってしまう、日本はもう終わるかのように不安を煽るのが趣味のようですが、彼らの予測が当たった試しはほとんどない。
年金周りに蔓延らせた経済学的にはなんちゃらの不安話はほぼ嘘であり、彼らの思い違いだった。
それでも白を黒と言い続ける。
でも、今となってはその声は小さく、そして影響力がなくなっていった。
だけど、トンデモナイ不安を煽る話の方が大衆ウケするから、彼らの支持を得た学者たちは持ち上げられ、地位と名誉や権威や金を得た。
そのため、そんな偉い人が言う事だから間違いない!という悪循環に陥ってしまった。
まともな事言ってる人は世間としては面白くないから、表にはなかなか声が通らない。
また、今だからこそ言える!!みたいなキャッチフレーズを用いても、その人が未来予測できるようになったわけではなく、急にその人のレベルが上がるわけでもない。
結局は未来の不確実性に対しては誰もが無力。
100年前、いや50年前や20年…10年前ですら今を予測できた人がいただろうか。
それを踏まえた上で僕も以下を述べます。
消費税を引き下げたところで景気が劇的に良くなる保証はどこにもない。
そこまで効果がなかったら、また増税しなきゃ…となっても強烈な抵抗にあってそれはほぼ不可能になる。
むしろ社会保障を削減するという事のほうが弊害が大きすぎる。
近視眼的には社会保険料が減ったら、やった!手取りが増えた!!と喜ぶでしょう。
会社としてもガッツポーズ決めるんじゃないですかね。
しかし、その影響で高齢者の人たちの年金給付などが減ってしまい、更にその他の社会保険に関しても例えば病院にかかる時に保険証出せば3割負担で良かったのが5割負担とかに引き上がるでしょう。
年金を下げられてしまった高齢者の人は生活に苦しみ、遠くに行ってしまった親族を頼るか生活保護を利用せざるを得なくなるかもしれません。
自分の高齢の両親や祖父母を見捨てるわけにはいかないから、親族である主に子供は自分の給料から高齢者の足りない生活費を仕送りしないといけません。
なお、昔みたいに兄弟が多ければ負担を分散する事ができるでしょうけど、少子化で子供は1人や2人という家庭が増えた中では1人あたりの負担が大きくなりすぎてしまう。
そして、引き下げられてしまった社会保険料や消費税にふさわしい給付しか将来は給付してもらえないから、今度は今の若い人が高齢になった時に貧困が吹き荒れる事になりかねない。
政治家や何かの学者が、消費税減税すべき!とか社会保険料削減!を提唱してもそりゃあ耳に聞こえはいいでしょう。
きっとそういう大衆迎合な事を言えば支持を得やすいです。
野党議員などが言う事はあまりにも近視眼的な事が多いし、大衆ウケするかもしれません。
こういう手は昔、民主党が政権交代した時に使った手であります。
一時的には嬉しいかもしれませんが、長い目で見れば弊害が大きすぎる。
経済の用語でよく言われる合成の誤謬というやつかもしれませんが、ミクロ的には良いかもしれないがマクロ的には悪くなってしまう。
例えばミクロ的である1つの企業としては社会保険料を減らして会社の経費を削減できてハッピーかもしれないけど、マクロ的には社会保険料を減らした結果として社員の老後や万が一の病気などの時に、保障されずに貧困に陥る。
貧困に陥る人が増加すれば、当然の結果として人々はモノを買うという事を控えます。
そうすれば会社は巡り巡って収益が落ちていくところが増え、税収も落ち込み経済全体が悪くなってしまう。
人々や国の利益を考えた時、目先の事に囚われた利益だけを考えてはいけないのであります。
将来は不確実で誰にも予測は出来ないけど、長い目で見たらこちらの方が良いという事が重要。
年金でいえばどうして、年金制度というものが作られてそれを充実させる必要があったのか。
それは昭和時代に本来は親子三世代で、子が一緒に住んでいた高齢の両親や祖父母の面倒を見ていました。
しかし、高度経済成長期に工業化が進み、子供は都会へ出て行ってしまいました。
残された親は将来面倒を見てくれる人がいなくなり、どうやって老後を過ごせば良いのやら…となってしまいます。
子供が面倒見てくれない以上はもう国が年金を作って、高齢者の生活を保障するしかありません。
私的な扶養だった昔の家族の形(各家庭の子供が自分の稼ぎで扶養)が、社会の変化とともに社会的扶養(現役世代みんなで一定の保険料を負担して高齢者を支える)へと変わったからです。
社会的扶養が弱体化、もしくは廃止という事ができたなら一時的には手取りが増えて良いかもしれません。
でもその後は自分の稼ぎから月10万〜20万?くらい親に払うのみならず、介護も家族が全てやる事になりますね。
(それでは今日はこの辺で)
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5月15日の第346号.加給年金は配偶者が65歳になったら消滅してしまうはずなのに、なぜこの夫婦にはずーっと付きっぱなしなのか(重要!)
5月22日の第347号.「遺族厚生年金の条件を何一つ満たしていないのに、発生させる手段」
5月29日の第348号.よく障害年金は65歳以降は請求不可と言われるが、出来る場合と出来ない場合。
6月5日の第349号.金額の多い方の年金を取るより金額の低い年金を選択した方がいい場合。
6月12日の第350号.雇用保険からの失業手当を受給する時と障害のある人の場合の手当優遇や老齢の年金。
6月19日の第351号.なぜ現在の年金受給者の年金額を抑制したり、厚生年金加入を拡大したり年金加入期間を延長させようとするのか。
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5月8日の第345号.国年保険料と厚年保険料の仕組みと、障害年金請求が月末か1日かで1ヶ月分変わる場合。
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