万が一の事があっても基本的に助けてくれない社会だから年金などの社会保障がある。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
公的年金には病気や怪我で働く事や日常生活が困難になった時に障害年金という強力な年金があります。
 
年金というと高齢の人が貰うものというイメージが持たれますが、この障害年金に関しては働き盛りの若い人に特に関係してくる年金です。
 
20歳から国民年金に強制加入して60歳までは強制加入とされてますが、老後のためでもありますけど、万が一の病気や怪我で働くのが困難になったような場合のために保険料を支払っているとも言えます。
 
年金保険料ってやはりそう安いものではないので、支払うのが嫌だーという声もありますけどね。
 
厚生年金は会社も本人と同じ保険料額を支払っているので、会社側からしてもあまり快くは思われません(笑)
 
 
ただ、この年金制度がないと先ほどのように働き盛りの年齢で、病気や怪我で働くのが困難になると収入が途絶える危険性があります。
 
もちろん会社がある程度は保障してくれたり、家族の支援などがあるでしょう。
 
しかし、そんな事はいつまでも続きません。
 
 
特に会社は利益を追求するところなので、働けない人にはそんなにいつまでも面倒見てくれません。
資本主義というのはそういう面では厳しいです。
 
そして家族ですが、家族は昔のように親子3世代で暮らしてる世帯など20%にも満たりません。
 
昭和40年代くらいまでは親子3世代の世帯が50%ほどありましたが、もう家族は散りバラバラになって核家族ですよね。
 
家族が多い中であれば、みんなで協力して支え合う機能が働いていましたが、もう親は親で、子は子でやってくれという家族の繋がりは薄れていきました。
農業社会だった頃は家族の誰かが病気で寝込んでも他の家族が総出で何とかしていました。
 
しかし、戦後は工業化していく中で農業をやるよりも、都会などに出て会社に雇用されて働いた方が給料がいいので、子供は家や田舎から出ていく事になりました。
 
 
そのため、家族の機能(私的扶養)が薄れていくと自分たちでなんとかしないといけないから、国が年金制度を作って社会的扶養を充実させていったのであります(昭和34年4月から国民年金が創設された時なんかはまさに残された親の老後不安が背景にあった)。
家族の扶養機能が小さくなってしまったのなら、国が面倒見るしかない。
 
 
で、話を戻しますが、会社は利益を追求する場所なので、病気や怪我で長い事働けない人の面倒をいつまでも見てはくれません。
 
資本主義の社会というのは強者が生き残る世界なので、そこから外れた人は「自己責任ですから助けてあげれません」となります。
病気や怪我という自分の責任では無いような不運でも一旦足を踏み外すと、なかなか元の生活に戻るのは難しい事になるから、そうなると勝者と敗者に分けられて格差というものが必ず生じてきます。
 
負けた者は貧困の中で苦しむ事になります。
 
 
そんな競争社会の弱肉強食の世界は、もちろん常に成長を目指しながらこの世の中を劇的に便利にしましたので、そう簡単に袖にはできないものでありますが、弱者は泣くしかないというままにしておくと社会は不安定になります。
 
よって、万が一の事があった場合は、社会保障という網が張られているのです。
 
 
社会保障費が膨大になってきたから社会保障費を削るべき!というふうに言われたりしますが、社会保障を削れば削るほど自己責任色が強くなります。
 
何かあっても自分たちで何とかしてくださいとなります。
年金制度が嫌なら、家族の人が自分の給料から親やおじいちゃんおばあちゃんの生活資金を出してくださいねとなります。
 
まあ、資本主義がそもそも自己責任なので。
 
 
それと会社側としては社会保険料なんて利益に水を差すものだと昔から嫌われますが、むしろ社会保障があるからこそ商売も成り立っているといえます。
 
なぜならば、もし社会保障がなくて貧困者や失業者がどんどん増える事になれば、当然彼らはお金が無いからモノやサービスを消費できません。
 
そうすると会社は利益が上がらないからモノの値段を下げ、社員の給料も下げなければいけません。
デフレになるわけですね。
 
給料減ったらモノが買えなくなるからまた、モノの値段を下げないといけないスパイラルに陥る。
 
 
しかし、毎回偶数月に年金が入ってくると、たとえ不景気でも安定して入ってくる年金収入のおかげで消費が落ち込むのを回避する事で会社の収益が悪くなりすぎる事を回避してるわけです。
 
年金はどんなに景気が悪くなっても安定して支払われるものなので(物価や賃金変動には影響しますが)、不景気で極端に消費が落ち込む事を防ぐ経済安定化装置でもあります。
 
年金をもし何年か前まで言われていた税金で支払うと(税方式の年金)、景気が悪い場合は即行で力ずくで年金引き下げてくるでしょうが、社会保険料は所得なんかに関係なく支払わないといけないものなので安定した年金給付が行われるわけです。
 
 
ちなみに社会保障費は年金だけで言うと毎年60兆ほど支払われてますが、金額だけで見るととんでもない数字ですよね。
これだけ見ると削減しなければって思ってしまいそうですよね。
 
しかしながらGDP比で言うと10%程度しかないので、日本の高齢化率に対してあまりにも低い位置で無理してる感があります。
もっと社会保障を充実させる事で、より住み良い社会になると思いますけどね。
 
なぜか、日本は社会保障費が多すぎる!というおかしな認識になっている。
 
似たような事に日本の公務員は多すぎるから減らせ!とかですね。
日本の公務員数は世界的に見てもかなり少ないですけど、それを更に減らしたら社会が成り立たなくなる。
 
どこで人々の認識は間違った方向に行ってしまったのか。
 
 
さて、先に言った障害年金であれば、普通は障害を負うと収入を得る機会が減ってしまう事になるので、そうなると貧困に陥ってしまいます。
 
ですが、年金が支払われる事である程度の所得保障がなされる事により、貧困を回避する事になります。
 
 
つまり何のために年金があるのかというと、「今は働けるから収入や生活に困ってはいないけど、何かあった時に貧困に陥らないために今のうちに保険料を支払っておいて備えておこう」とする保険なのです。
 
老齢の年金だって働けるうちは給料で何とかするけど、高齢になったら会社は面倒見てくれないし、定年退職とやらで労働市場から排除してくるシステムがあるからそういう場合に備えて年金を整備しておく必要があるわけです。
 
よく支払った保険料の何倍が年金として支払われるか、何歳まで生きれば得かというような損得の話が以前は人気でしたが、本当に馬鹿馬鹿しい話ですよ。
 
例えば民間保険に入る時に多くの人は損か得か考えないですよね。
 
医療保険入っても今まで散々保険料払ってきて、ようやく入院して給付金もらえたとしても、今までの保険料総額には到底及ばないですが損をしてるなんて考えはなく、給付金をもらうと有難いと思う。
 
どれだけ今まで支払った保険料の方が多かろうが、やっぱり万が一の事があるから保険に入る人が多いわけで。
 
人は安心感が欲しいからですね。
保険入る時にいちいち損とか得とか考えないでしょう。
 
同じように万が一の事になっても、年金が支払われる安心感を買っている。
 
 
それといつまで生きるかわからないですからね。
女性なんて90歳以上平均で生きるのが珍しくなくなった時代にはどうしても国が終身で面倒見てくれる年金が必要になります。
安心して長生きするにはお金があってこそです。
 
 
資本主義の中で、会社同士が競争する中で生活は便利になり、栄養も豊富になり、医療が発達して平均寿命も急激に伸びました。
 
その中で、家族の扶養機能が弱まったり、以前よりもはるかにいつまで生きるかわからない不確実な世の中になってしまった以上は年金制度がないと怖いかなと思いますね。
 



 
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7月5日の第301号.法改正で条件が緩和して障害年金受給事例と、前年所得による障害基礎年金停止サイクル

7月12日の第302号.再婚後に配偶者死亡による遺族年金の問題と、再婚者の子が前妻に引き取られた時(超重要)

7月19日の第303号.保険料未納期間のはずが納付した期間になってしまった経緯と、その対応。

(次回予定)
7月26日の第304号.必ず発生する未支給年金の要件と、遺族年金受給者が必ずしも未支給年金受給するとは限らない事例。
 

8月2日の第305号.高まる厚生年金保険料に経済界は不満タラタラだったから妥協して始まった厚生年金基金制度と崩壊。

8月9日の第306号は、加給年金は65歳からと認識されているが、元々はそうではなかった時代背景と加算時期がやや異なる事例。

8月16日の第307号.船員や炭鉱で働いていた人は厚生年金が高くなりやすく、更に受給開始年齢も驚く程早かった。

8月23日の第308号.年金の課税対象者の源泉徴収税と、他の所得と合わせて計算する還付申告時。
 
8月30日の第309号.年金と給与を貰っている人の税計算と控除。


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