年金の被保険者になるのはどのような人達なのか(年金の被保険者) | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。

・まぐまぐ大賞2020知識ノウハウ部門ダブル受賞と5年連続受賞しました



今日は、年金の被保険者というものについてザっと復習しましょう。
3タイプの被保険者が居ますので、これらがどういう人なのかというのを頭に入れておく必要があります。

この3タイプの年金被保険者の用語は必ず覚えておいてほしいと思います。


 
1月は成人式の月ではありますが、20歳になるとなんとなく大人になったんだなあという感じがしますよね^^
晴れ晴れしい事です。
 

さて、そんな大人の年齢に到達したら何が起こるのかというと、年金の被保険者になります。
 
毎月年金の保険料を支払う義務が発生します。
国民年金保険料は翌月末までが期限となります。
 
 
たとえば、3月20日に20歳になる人は、その3月分の保険料を4月末までに支払います。
4月の保険料は5月末となります。
 
 
え?年金なんて加入したくないから保険料支払いたくないよ!と思う方も多いでしょうけど…20歳になると強制的に国民年金の被保険者になります^^;
 
個人の選択で加入するしないは決める事が出来ないのです。
 
 
まず、必ず国民年金の被保険者になるのが20歳から60歳までの40年間です。
 
月数で言ったら480ヵ月ですね。
 
 
480ヶ月も強制で加入し、保険料も支払い続けます。
 
 
 
なお、40年のうち最低でも10年の年金期間(受給資格期間という)があれば65歳から老齢の年金を貰う事が出来ます。
 
 
60歳までは強制加入ですが、保険料を過去に未納にしたとかで480ヵ月足りない場合は60歳以降65歳までの最大5年間は国民年金に任意で加入して、国民年金第1号被保険者になる事が出来ます。
 
任意加入は主に将来の年金額を増やしたい人向けですね。
 
 
さて、20歳になると恐らく大学生の人も多いかもしれませんが、問答無用で保険料支払ってくださいという事になります。
 
 
国民年金の被保険者には3つの被保険者が存在しますが、まず学生さんや自営業者、自由業、失業者、農家などの人は国民年金第1号被保険者と呼ばれます。
 
 
令和3年現在は約1450万人ほどの人が国民年金第1号被保険者。
 
国民年金第1号被保険者の人はすべて毎月の保険料は個人個人の所得に関係なく、定額の保険料(概ね毎年度変化しますが約17,000円弱)を支払います。
 
 
強制的に国民年金の被保険者となりましたが、この国民年金第1号被保険者の人を見てみると必ずしも所得を得られてるとは言えない場合がありますよね。
 

失業中とか、学生でそんなアルバイトばかりできないとか…
人生何が起こるかわかりません。
 

でも、みんな国民年金第1号被保険者の人は一律17,000円くらい支払う義務がある。

 
どうにかならないの?という場合があると思うので、そのように支払うのが困難な人は市役所や年金事務所に行って、保険料を免除申請する事が可能です(所得によるので必ず免除できるわけではない。世帯主や配偶者の所得も免除の基準に該当する必要がある)。
 
 
免除申請が通ると、7月から翌年6月(学生は4月から翌年3月)まで免除となり過去2年1ヵ月以内に未納があれば、遡って免除期間になる。
 
 
もし、免除申請をしない場合は未納になってしまう。
あんまり未納が続くと財産の差し押さえに発展する事もある。
 

特に個人事業の人は差し押さえ食らうと信用を失ってすべての銀行取引を失いかねない。
差し押さえされるくらい保険料を支払わないズボラな人だと、お金貸したら返してくれないだろうな~と銀行から信用されない。
 
 
一応、免除にしておけば未納扱いにはならないし、将来老齢の年金を受け取る時の受給資格期間10年の中には組み込まれる。
 
(免除にした期間は過去10年以内なら遡って保険料を納めて、将来の年金を増やす事が出来る)。
 
 
なお、免除してるからその免除期間は年金にはならないと思われがちですが、国民年金(将来は基礎年金として受給)に年金額の半分の税金が投入されているから税金分が貰える。
 
 
国民年金(65歳から貰う老齢基礎年金)が約80万円とします。
 
もし、20歳から60歳まで全額免除してきたとしても、40万円は年金として受け取れるという事ですね(学生の免除期間など年金額には全く反映しないものもある)。

 
未納にしてる人はこの税金分を受け取る権利も放棄してしまう事になるので、未納にしてる人は単純に非常に損な事をしている事になる。
 
 
ちなみに国民年金第1号被保険者の総数1450万人のうち、全額免除者が約570万人で保険料の一部を免除してる人は約40万人程。
 
未納者は120万人程(平成10年あたりに300万人ほどいたが随分と未納者が減った)。
 
 
 
ところで所得が厳しい人も、裕福な人も一律の定額保険料は負担感が違うから一律17,000円ほどの決まった額の保険料じゃないほうがいいのでは?という意見も多いですが、なぜ一律定額保険料にしてるのでしょうか。
 
 
実は所得の把握が難しいから^^;
会社に雇用されてる人と違って所得の把握が困難だから、保険料支払うタイプの国民年金が始まった昭和36年4月以来ずっと定額保険料なんです。
 

会社で雇用されてる人とかは給料がわかるから、悪質な隠蔽みたいな事が無ければ100%把握されるんですけどね。
 

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次にサラリーマンや公務員の人はどうか。
 
この人たちは何の年金に加入してると思います?
 
はい、厚生年金ですね(公務員は共済組合ですが、平成27年10月からは厚生年金に統合)。
 
 
だから厚生年金の被保険者と思ってる人は多いですよね。
 
 
間違いではないんですが、このサラリーマンや公務員の人も国民年金の被保険者です。
 
国民年金第2号被保険者と呼ばれますが、平成27年10月から4つの名称も誕生した。
 
 
民間サラリーマンは厚生年金第1号被保険者(約4000万人)、国家公務員共済の人は厚生年金第2号被保険者(約110万人)、地方公務員共済は厚生年金第3号被保険者(約280万人)、私立学校共済は厚生年金第4号被保険者(約50万人)と呼びます。
 
まあいずれにせよこの人たちは国民年金第2号被保険者(全体の被保険者数4400万人ほど)です。
 
 
 
最初の自営業者とか学生のような人は国民年金第1号被保険者と呼ばれるのに対して、サラリーマンや公務員の人は国民年金第2号被保険者という事になります。
この用語は頭に入れておきましょう。
 
でも、厚生年金に加入してるのに、なんで国民年金の被保険者なの?と思われたかもしれませんね。
 
 
 
これは昭和61年4月に遡るんですが、この時にどんな職業の人であれまず共通して国民年金に加入しよう!という事になったんです。
 
みーんな国民年金に加入して、将来65歳になったらみーんな共通して老齢基礎年金を貰おうっていう事にしたんですね。

 
どんな職業であろうが国民年金に加入させる。
そして65歳になったら全員が共通である国民年金の基礎年金を受給する。
 
職業に関係なく、どんな人でも共通の平等な給付の部分を作ったというわけです。
 
 
20歳から60歳まで漏れなく480ヶ月間の期間がある人は、令和2年度価額として満額の老齢基礎年金781,700円が支給されます。
最低受給資格期間の10年しかない人は、781,700円÷480ヶ月×120ヵ月=195,425円(月額16,285円)の年金になる。
 
 
その上で、サラリーマンや公務員の人は厚生年金にも同時に加入して、将来は厚生年金も受給すると考えるといいですね。
 
 
つまり、サラリーマンや公務員は国民年金と同時に厚生年金に加入してるという事です。
 
 
という事は…両方の保険料を支払ってるかというと、保険料は厚生年金保険料のみ徴収してます。
 
 
厚生年金保険料は国民年金第1号被保険者と違って、給料(実際は標準報酬月額ですがとりあえず給料としてます)や賞与に18.3%の保険料率を掛けて、給料や賞与から保険料が天引きされます。
 

しかしながら、天引きされる率は18.3%ではなくその半分の9.15%分の保険料を支払います。
 
なぜ半分の保険料だけ支払いで済むのかといいうと、社員だけでなく会社と折半して支払うからです。
 
 
 
例えば50万円の給料貰う人は、18.3%だと月々91,500円の保険料になりますが、会社と折半するから45,750円を支払えばいいという事になります。

 
社員の給料から45,750円も厚生年金保険料が天引きされてる…のと同時に、同じ額を会社も負担してるわけですね。
 
会社は社員にお給料だけでなく、社会保険料もろもろの負担もしてくれているのです。
 
 
なお、国民年金第2号被保険者は保険料が給与天引きなので未納にはできないし、国民年金第1号被保険者に特有の免除制度も産休中の免除以外存在しない。
不正でもない限りほぼ100%保険料が徴収される。
 
 
さて、国民年金と厚生年金に同時に加入してるから、もちろん将来は国民年金から基礎年金が支給されるし、厚生年金から老齢厚生年金が支給される。
 
 
国民年金を1階部分の土台として支給しつつ、その上の2階部分として厚生年金を支給するから2階建ての年金と呼ばれたりします。
ちなみに3階部分には企業年金や民間の年金などを個人の自由で受給したりする。
 
 
なお、厚生年金は20歳未満や60歳以降の最大70歳まで加入する事が出来ます。
 
 
ただし、20歳未満や60歳以上の国民年金第2号被保険者期間は65歳からの老齢基礎年金額には反映しない点に注意。
(国民年金1号被保険者や後で説明する国民年金第3号被保険者は20歳から60歳までの加入なのに、国民年金第2号被保険者だけは20歳未満の期間や60歳以降の期間も老齢基礎年金額にするよ!とすると不公平になるから)
 

余談ですが65歳になると国民年金から老齢基礎年金が支給される年齢ですが、65歳から70歳までは厚生年金に加入できます。
しかし、65歳以上は国民年金第2号被保険者とは言いません。
 
 
もうすでに国民年金からの老齢基礎年金の給付を貰ってるのに、国民年金の被保険者とするのはおかしいからです。
 
だから65歳以上で厚年加入してる人は厚生年金加入者と呼んだりしますが、そこまで細かい事は気にしなくていいです^^;
 

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では次の被保険者に進みましょう。
 
 
最後の被保険者は国民年金第3号被保険者と呼ばれる人たちです。
 
 
 
この人たちはどういう人達かというと、サラリーマンや公務員である国民年金第2号被保険者の扶養に入ってる人だけがなれる被保険者です。
 
特徴なのは国民年金第3号被保険者の大半は女性という事(99%くらい)と、個別に保険料を支払う必要が無いという点です。
 
 
 
なので、主に専業主婦の人がなる被保険者が国民年金第3号被保険者っていうイメージです。
 
もちろん男でも国民年金第3号被保険者にはなれますよ(笑)
専業主夫の人もいるからですね。
 
 
ちなみに専業主婦というと収入を得ていない人じゃないといけないというわけではなく、年間収入が130万円未満であれば国民年金第3号被保険者になる事が出来ます。
 
よく国民年金第3号被保険者は話題になる事がありますが、なぜかというと個別に保険料を支払わなくても保険料を支払ったものとして将来の国民年金(老齢基礎年金)が貰えるから。
 
保険料支払わなくても将来の年金を貰えるから不公平だってよく話題になります。
 
 
特別に専業主婦を有利にしてるわけではなく、財源は国民年金第2号被保険者の厚生年金保険料の中に含まれているため個別に保険料は徴収しません。
不公平な制度ではないという説明はこの記事では割愛しますが、根本的には昔の厚生年金制度から説明しなければならないところではある。
 
 
健康保険なんかも、サラリーマンの扶養に入ってる人は個別に健康保険の保険料は支払う必要が無いですよね。
 
 
とはいえ、平成28年10月から厚生年金に加入する基準が緩和されたので、その影響で国民年金第3号被保険者の人が少なくなってきています。
 
年間見込み収入が130万円未満(月額で108,333円)でも、月額88,000円以上で週労働時間20時間以上などの条件(他に会社規模や雇用期間など)を満たすと厚生年金に加入して保険料を支払う必要が出てくる。
 
 
 
なお、国民年金第3号被保険者期間になれるのは20歳から60歳までの国民年金強制加入中の期間に限る。
途中で夫が退職などをして国民年金第2号被保険者ではなくなると、妻は国民年金第3号被保険者から外れる。
 
 
また、サラリーマンの夫が65歳以上の厚年加入者の場合は、妻は国民年金第3号被保険者にはなれないというのも覚えておきたい(一部例外はある)。
 
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1月20日の「第173号.法改正されて消滅したはずの法律がいつまでも付き纏う理由と、その影響が残る年金計算。」


1月27日の第174号は共済期間と厚年期間がある人の障害厚生年金計算時と老齢厚生年金計算時はこんなに違う。
 
2月3日の「第175号.2月支払いはコロコロと年金額が変わりやすい理由と、正式な年金計算や端数処理の関係をマスターしよう。」を予定。

2月10日の「第176号.年金額の手取りに強く影響する社会保険料の年金天引きは、なぜ突然不可解な変化をするのか」を予定。


1月6日の「第171号.ほとんど保険料納めてなかったのに年金貰える人が多かった事情と、年金でいう保険料納付済期間の勘違い。」

1月13日の「第172号.年金は一種類しかもらってはダメなのに、なぜ遺族厚生年金や障害基礎年金は例外があるのか。」



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12月16日の第168号は「年金の繰上げからの障害年金請求と、老齢と障害の年金が被ってしまった場合にやる内払調整。」を発行しました。


12月23日の第169号は「障害年金と児童扶養手当併給事例と健康保険からの傷病手当金との調整」を発行しました。


12月30日の第170号は「バブルの始まりから崩壊までの流れと年金制度、その後の最大の問題であった少子高齢化と平成不況」を発行しました。


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