厚生年金や共済に加入した期間がある人が65歳になると必ず発生してくる加算。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 


僕の読者様は60代前後の方が多いと思いますが、時々比較的お若い方の読者様もいらっしゃいます。

以前、いただいたメッセージの中でとても嬉しかったのは、年金受給されてるお母様との会話が年金を通じて増えたんですという事でしたね。

年金の話を通じて会話が増えて、ご家族様の仲が良くなるというのは冥利に尽きます^ ^

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では本題です。

 
年金を貰う時に、過去に厚生年金に加入した事が1ヶ月でもある人であれば65歳になると老齢厚生年金が支給されます。
 
老齢厚生年金額は過去の報酬に比例した年金なので、給与や賞与が高かった人ほど多く貰う事が出来ます。
 
 
報酬に比例するから、老齢厚生年金を報酬比例部分の年金と言ったりもします。
 
厚生年金は保険料徴収する時は、保険料率を掛けて徴収するから給与が多い人ほど負担する保険料が多い。
その代わり年金貰う時も年金が多くなる。
 
 
あと、20歳から60歳までは国民年金に同時に加入してる状態なので、たとえサラリーマンや公務員やって厚生年金に加入してる人も国民年金に同時に加入する形になっている(別途、国民年金保険料は支払わないけども)。
 
厚生年金に加入してる人は20歳から60歳までは国民年金にも同時に加入してるので、65歳になると老齢厚生年金の報酬比例部分の年金と合わせて、国民年金から老齢基礎年金が支給される。
 
 
国民年金は報酬に関係なく、加入した期間によって比例する年金なので加入期間が同じなら年金額も同じになる。
 
支払う保険料は所得に関係なく、一律定額。
 
 
国民年金保険料も所得に応じた保険料を支払うのがいいのでは?という意見もありますが、サラリーマン以外の所得は把握するのが困難だったため今現在も所得に関係ない定額保険料となっています。
 
税務署の所得の把握(所得捕捉率という)がどの程度かというと、サラリーマン:自営業:農家:政治家=10:5:3:1(トーゴーサンピン)とよく言われる。
 
サラリーマン以外はなかなか所得が把握されていない。
結構不公平な感じではありますね^^;
 
 
国民年金のみに加入というのは、主に自営業者とか学生、非正規社員(厚年の人もいる)の人や失業中の人等になる。
 
 
 
さて、65歳になると老齢厚生年金と老齢基礎年金を主な年金として支給されますが、老齢厚生年金をよく見ると加算金が付いてたりします。
それを見て、これ何?と言われます。
 
 
老齢厚生年金の種類に含まれるものなんですが、経過的加算(差額加算)といいます。
 
 
 
加算されてるから何かオマケが付いたのかな?と思われそうですが、ご褒美とかいうものではないです。
 
 
 
ココを説明するのは30年前ほどの昭和61年まで遡った話になりますが、簡潔に説明します。
 
 
 
 
 
昭和61年3月31日までの、厚生年金に加入してた人は将来は厚生年金に加入した期間に比例した年金である定額部分という年金と、上記の報酬に比例した厚生年金で支給していました。
 
 
 
まあ、「定額部分+報酬比例の年金」が厚生年金の本来の形だったんです。
 
 
 
今現代は「老齢基礎年金+老齢厚生年金(報酬比例部分)」の形ですけどね。
 
 
 
よく見ると、定額部分というものが無くて、老齢基礎年金になってますよね。
 
 
 
 
 
これは何でかというと、昭和61年4月の年金大改正から「65歳になったら国民年金から老齢基礎年金を支給します」って事になったんですが、じゃあ今まで支給してた定額部分はどうしたかというと廃止したんです。
 
 
 
つまり、昭和61年3月までは厚生年金加入してた人は厚生年金に加入した期間に比例した年金であった定額部分を支給してたけど、それはもう廃止して昭和61年4月以降に年金貰う人は国民年金からの老齢基礎年金を支給しようという事になりました。
 
 
 
昭和61年4月を境に、定額部分から国民年金の老齢基礎年金にバトンタッチしたんです。
すり替わった。
 
国民年金は同じように加入期間に比例して増える年金だったから、定額部分を廃止して、似たような国民年金の老齢基礎年金にすり替えたんです。
 
 
 
でもその時にちょっと不都合な事が出てきたんですね。
 
 
 
 
それは何かというと、定額部分の計算式と老齢基礎年金の計算式が違うって事。
 
 
例えば、定額部分の計算は1,630円(令和2年度単価)に厚生年金加入期間を掛けたものになる(上限は国民年金に合わせて480ヵ月)。
18歳から50歳までの32年間(384ヵ月)厚年に加入したなら、1,630円×384ヵ月=625,920円になる。
 
 
じゃあ、老齢基礎年金はどう計算するのかというと、まず先に満額は781,700円ですと決める。
そして、20歳から60歳までのどんな職種であろうが国民年金に同時に強制加入してる厚生年金期間を使う。
 
例えば、18歳から50歳までの384ヶ月間厚生年金に加入したら、20歳から50歳までの30年間が老齢基礎年金の額になる。
 
 
つまり781,700円÷480ヶ月(上限)×360ヵ月(30年)=586,275円
 
 
 
これを見比べてみると、従来の計算で支給してた定額部分のほうが有利になってるのがわかりますよね。
老齢基礎年金は20歳前とか60歳後の期間が入らないから定額部分の時より金額が少なくなってしまっている。
 
 
定額部分を昭和61年4月で廃止して、代わりに老齢基礎年金から支給する事にしたものの計算のやり方の違いで差額が出て、年金額が低くなってしまった。
 
 
従来の厚生年金として支給してた定額部分は、厚生年金の加入期間はすべて含めて計算していたが、定額部分の後継者となった老齢基礎年金は20歳から60歳までの厚年期間しか使わない。
 
 
 
という事は20歳前から働いてる人や60歳以降も厚生年金に加入して働いてる人は不利な事になる。
 
 
 
じゃあどうするかというと、定額部分と老齢基礎年金の差額を支給するんですね。
 
 
 
上記の例で計算式にすれば、1,630円×384ヵ月(全厚年期間)-781,700円÷480ヶ月×360ヵ月(20歳から60歳までに加入した厚年期間)=625,920円ー586,274円=39,646円の差額を支給して、不利にならないようにする。
 
 
従来の厚生年金の計算式で支給していた定額部分と、その後にバトンタッチされた老齢基礎年金との差額を埋めるために加算されるのが経過的加算(差額加算ともいう)。
 
 
現在は定額部分を受給してる人はほとんどいませんが、20歳前とか60歳以降も働いてる人がいるので、年金額が不利にならないようにこれから65歳になる人であっても経過的加算(差額加算)として支給されます。
 
※追記
厚生年金期間が20歳から60歳までの間に納まってる人は全く差額は出ないかというとそうではないです。
 
仮に上記の384ヵ月が20歳から60歳に納まっていても、計算式の違いで差額が出る。
 
 
1630円×384ヵ月ー781,700円÷480ヶ月×384ヵ月=625,920円ー625,360円=560円
 
この560円が差額加算となって65歳以降支給される。
 
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