定年後の継続雇用後に何も考えずに退職すると、しばらく年金も失業手当も貰えない危険がある。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

おはようござます。
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
あのー…公共トイレを使う時によくあるんですが、トイレにこもってなかなか出てこない人がいますよね^^;
駅のトイレとかコンビニのようなお店のトイレとか。
 
5分どころか10分くらい出てこなかったりする。
もうホント迷惑!
 
もちろんお腹が痛くて下痢気味だとなかなか出れない時もありますが、複数の便座トイレがどっちもこもりっきりっておかしいやろ(;´∀`)
スマホやってんだろうなあ…と考えると、耐えてるこっちにとってはデッドオアアライブですよ。
 
長すぎる!と思ったら足踏みしたり咳払いするけど、効果が無い時もある…
 
次の人の事をちゃんと考えて、トイレ内でのスマホは本当にやめてほしい。
 
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では本題です。
 
60歳の定年以降も、平成25年の高齢者雇用安定法改正により、希望すれば継続雇用する事が義務付けられましたが、これにより年金を受けながら働くという人はもう普通になりました。
 
 
働く高齢者が増えて、年金の支え手として働く人が増えたというのは年金制度としては財政が安定する要因になります。
 
年金の支給開始年齢が上昇してる事に対する生活不安から、勤労意欲が高い人が多いので、継続して働けるというのは有難い制度ではあります。
 
 
しかし、継続雇用の義務が雇用にミスマッチを生み出してる側面もある。
 
 
このミスマッチというのは、若くて有能な人材が欲しいという企業に対して、高齢でそうではないという人の雇用が続くという面。
 
 
 
さて、雇用と言ってもいつまでも働けるという人ばかりではなく、いつかは辞める時が来る。
 
 
その時に65歳未満だと年金との関係には注意しておく必要がある。
 
辞めると多くの人はその後のしばらくの資金は雇用保険の失業手当を考えている。
 
 
ただし、65歳前から厚生年金や共済からの年金(老齢に対する給付に限る)を貰えている人は、この雇用保険からの失業手当とは同時に貰えない。
 
 
なぜなら失業手当というのは働きたいんだけど就職先が無い人に対する給付であり、老齢の年金はもう引退した人に対する給付だから失業手当を貰う際は、失業手当の給付を優先して年金は全額支給停止にする。
 
あと、社会保障の2重保障を防ぐため。
老齢の年金の場合は全額停止されますが、そういえば平成10年3月31日までに老齢厚生年金の受給権を得た人は同時に貰えてた時代はありました。
 
※注意
65歳前に支給を繰り上げた老齢基礎年金は停止されない。
 
 
国の財政が悪化していた時期だったから、こういう有利な状況を解消した。
 
 
なお、遺族年金や障害年金のような非課税年金にはそのような制限はないため、失業手当と同時にこれらの非課税年金を貰って構わない。
 
ハローワークにいちいち申告する義務はない(ただし障害年金を貰ってる人が働ける状態ではない時に求職の申し込みをしようという場合は、働けるまで回復したと医師が証明してくれなければならない場合もあります)。
 
 
というわけで、今回は失業手当と年金の基礎を見ていきましょう。
 
 
1.昭和32年4月24日生まれの男性(今年63歳になる人)
 ・(令和2年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12563651891.html

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12564534484.html

 
 
 
この男性は令和2年4月23日になって63歳になると、自分の老齢厚生年金120万円(月額10万円)が請求により令和2年5月分から貰えるとします。
 
60歳から雇用継続により働き続けていたが、自己都合により63歳をもって退職する。
勤務年数は20年以上。
 
 
その後、5月中に会社からの離職票等が届いたため、それをもって5月中にハローワークに求職の申し込みを行おうと思っていた。
 
 
 
ただし失業手当を貰うと年金は貰えないという事を聞いていたので、求職の申し込みをする前に失業手当か年金どちらが多いのかを試算してもらった。
 
 
年金は今までの加入歴の平均給与(平均標準報酬月額)で計算して120万円(月額10万円)支給するが、失業手当は退職前6ヵ月以内に貰った給与を合計して180で割った額で日額に直した額を使う。
 
 
 
この男性は退職前6ヵ月に貰った給与は30万円とすると、30万×6ヵ月=180万円
180万円÷180日=1万円となる。
 
 
で、60歳から65歳までの人は1万円×45%=4,500円が、失業手当の給付日額。
 
 
4,500円を月換算すると、4,500円×30日=135,000円になるので、年金貰うよりも失業手当のほうが高いし非課税。
ちなみに、失業手当は基本的に28日分ずつ支払われる。
 
 
なので、令和2年5月中にハローワークで求職の申し込みをした。
 
 
 
 
求職の申し込みをするとその翌月である6月分からの年金が全額停止となる。
停止は求職の申し込みの翌月から。
 
 
 
なお、この男性は自己都合退職なので求職の申し込みをしてから7日間の待期期間+3ヵ月の給付制限があるので、その間は失業手当は貰えない。
 
 
手当を貰わないならその間は年金支給されるかというと、されない。
 
 
待機期間や給付制限期間中は手当を貰ってるものとみなすから年金も停止して、何も保障されない危険な期間が生じる。
 
 
よって、自己都合退職や懲戒解雇の人は手当支給までのおよそ4ヶ月間の資金の事を考えておく必要がある。
 
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※注意
5月に求職の申し込みをしてるので、5月の1ヵ月分の年金は振り込まれる。
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この男性は20年以上の勤続年数があるので、失業手当の支給期間は150日分。
 
毎月滞りなく貰うとすれば5ヶ月間で貰い切る。
 
 
 
そして、年金が停止されるのは令和2年6月から給付制限3ヵ月+給付5ヶ月間=8ヶ月間。
 
 
8ヶ月間停止だから、特に何もなければ令和3年1月まで停止という事。
 
 
 
貰い切れば令和3年2月分からの年金が停止解除になってその後は通常の年金支払いとなる。
 
 
 
 
失業手当を貰い切るとちょっとした処理を行う。
 
 
年金も失業手当も貰えてない時期がありますよね。
 
 
こういう不利になってる期間を精算する(事後精算という)。
 
 
事後精算により停止されすぎた年金の支払い月数→年金支給停止月数8ヵ月ー150日÷30日=3ヵ月
 
 
 
この停止されすぎた3ヵ月分の年金を直近の停止月に遡って(令和3年1月分、令和2年12月分、11月分の合計30万円)、失業手当を貰い切った後に支給する。
 
 
令和3年1月に貰い切るから、事後精算分は早ければ令和3年3月15日の奇数月支払いになるが、4月15日にずれ込む場合もある。
4月15日にずれ込むと、令和3年2月分3月分の通常の支払いと、さっきの事後精算3ヵ月分の合計50万円が振り込みとなる。
 
 
というわけで、退職後に失業手当を貰う事を考えてる人は、このような場合を考えておく必要もあります。
 
 
※追記
65歳以降の老齢厚生年金と失業手当は同時に貰える。
 
最低でも65歳誕生日の前々日までに退職すれば、65歳以降になっても失業手当が貰える。
それか、求職の申し込みは65歳誕生月に行うか。
 
ただし、失業手当を貰うなら原則として退職日の翌日から1年以内に失業手当を貰い切らないといけない。
 
65歳前に辞める事に固執すると退職金に影響する場合があるので、むやみに65歳前退職が有利とは限らない。
よって就業規則の退職金支給条件は確認しておく必要がある。
 
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