年金貰える人が失業手当を貰う場合に気を付けておかなければならない事。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

おはようございます。
年金アドバイザーのhirokiです。
 
この間はなんとなく言いたかった部分が言えなかったので失業手当もういっちょチュー!!
 
 
65歳の誕生日の前々日までに退職すると、ハローワークに求職の申し込みをする事で失業手当(正式名は基本手当)を申請して受給することができますが、65歳前から受給できる老齢厚生年金(65歳前から貰える老齢厚生年金を特別支給の老齢厚生年金といいますが、記事では老齢厚生年金と略します。いつもの事だけど…)とは同時に受給することはできません。
 
 
社会保障の過剰給付になってしまうからです(平成10年4月1日になるまでは同時受給できた時代もあった)。
 
 
60歳以降も継続して働く人が多くなりましたが、退職後の年金の貰い方には注意しておきましょう。
 
 
 
離職の日以前2年間の間に12ヶ月以上(自己都合退職や懲戒解雇等以外は離職の日1年間の間に6ヶ月以上)の雇用保険被保険者でないといけないですが、満たしてるものとして話を進めます。
 
 
ちなみに遺族年金や障害年金、65歳前に繰上げした老齢基礎年金、65歳以上から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金とは失業手当の同時受給が可能です。
障害年金の場合は前回言ったように気を付けなければいけない。
 
 
 
ただし、65歳誕生日の前日以降に退職した場合の、ハローワークからの給付は失業手当ではなく高年齢求職者給付金という一時金になります(30日分または50日分)
この高年齢求職者給付金とは年金は一緒に貰って構わない。
 
 
 
65歳前々日までに退職したら65歳過ぎようが失業手当が支給されることにはなりますが、失業手当を貰いたいがために65歳到達前に辞めてしまって、退職金が貰えないという事にもなりかねないので退職する場合は会社の就業規則の退職金の支給条件を確認しといてくださいねニコニコ
 
 
 
というわけで今回はその失業手当と年金の関係を見ていきましょう。
 
 
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では事例。
 
 
1.昭和31年2月25日生まれの女性(今月62歳になる人)
 
この人の年齢の場合は60歳から年金がもらえる人ですが、その60歳到達時(平成28年2月24日時点)で老齢の年金を貰うために必要な期間である年金保険料納付済期間+保険料免除期間+カラ期間≧25年以上(平成29年8月からは10年に短縮されてる)あり、厚生年金期間が1年以上あるものとします。
 
 
60歳までの勤務期間は35年だったものとし、60歳から貰っている老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)は80万円(月額66,666円)で、65歳からは合わせて老齢基礎年金681,887円(月額56,824円)とします。
老齢基礎年金は779,300円÷480ヶ月×420ヶ月=681,887円で出しています。
 
 
さて、継続雇用で60歳以降も働いていたが平成30年5月16日に自己都合で退職することになった
※注意
平成30年6月に退職改定されますが、この記事では無視して話を進めます。



退職後はハローワークに求職の申し込みをしに行くつもり。
 
 
 
なお、気になる失業手当の額ですが退職前の6ヶ月間の平均賃金は32万円だったものとします。
 
 
これを日額で表すと10,666円
 
 
・失業手当の額→10,666円×45%=4,799円
 
年額で表すと4,799円×365日=1,751,635円
 
 
だから、年金額と失業手当のどちらが有利かは年額で比較するといい(わからなければハローワークや年金事務所で試算してもらうといい)。
大抵失業手当のほうが有利ですけどね(笑)
 
よって、失業手当1,751,635円>老齢厚生年金80万だから失業手当を貰ったほうが得になる。
そして老齢厚生年金は課税対象ですが失業手当は非課税。
 
 
この女性は、平成30年5月27日に求職の申し込みをしに行った。
退職までに20年以上勤続してきたから最大150日分の失業手当が貰える。
 
 
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ただし、特に何もなければ離職日の翌日から1年以内に貰い切らないといけない。
そして、自己都合退職の場合すぐに失業手当がもらえるわけではない。
 
 
求職の申し込みをしてから7日間の待期期間というものがあり(平成30年6月2日まで)、更にこの女性は自己都合退職だからプラス3か月の給付制限期間というのがある。
 
 
よって、求職の申し込みから大体4ヶ月は失業手当は受給できない。
 
 
しかも、求職の申し込みを一旦やってしまうと、その翌月の老齢厚生年金も停止してしまうので全くの無収入状態ができてしまうから危険。
 
 
失業手当の待期期間や給付制限期間は失業手当が貰えない期間ですが、失業手当を貰ったものとみなされるため、老齢厚生年金も停止されてしまう。
 
 
失業手当の給付制限期間は平成30年9月2日までとし、それからの失業手当の支給になります。
 
 
なお、失業手当の150日分を貰いきるか、離職日の翌日から1年後の平成31年(2019年)5月16日の受給満了日のいずれか早いほうが来るまでは年金が停止されてしまう。
 
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さて、150日分(30日で割ると5ヶ月間)を正常に毎月貰うとする。
 
基本的には28日分ずつ失業手当は支給される(受給するには必ず指定された失業認定日にハローワークに行かなければならない)
 
 
給付制限期間3ヶ月と失業手当をその後毎月貰うとすれば合計8か月間年金が停止されるから、平成31年1月分の年金まで停止となる。
 
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仮に平成31年1月30日の失業認定日で失業手当を貰い切るとすれば、翌月の2月の年金から年金停止解除。
 
 
2、3月分の2か月分の年金133,332円は4月15日支払い
 
 
まあ、普通はやっと年金停止が解除だ!チューと安心しますが、よく考えてみると給付制限期間の3ヶ月は失業手当も年金も貰ってない期間ですよね。
 
失業手当を貰えたわけじゃないのに年金も貰えなかったんじゃちょっとあんまりじゃないですかね…
 
 
というわけで、年金停止が解除される時は「事後精算」というのをやります。
 
 
 
これは、止めすぎた年金がある場合はその年金を支給しようというものです。
 
 
この人は平成31年1月30日で失業手当を貰い切ったから、2月に事後精算処理を行い、最短で3月15日支払い。
 
 
・事後精算→年金停止月数8ヶ月ー150日分÷30=3ヶ月の年金が直近の年金停止月に遡って停止解除になって支給される。
 
 
「直近の停止月の解除をして支給する」から平成30年11月、平成30年12月、平成31年1月分の年金を支給となる。
 
 
よって、事後精算による支給が3月15日に間に合うとすれば、事後精算により停止解除された直近3ヶ月分(66,666円×3ヶ月)の合計199,998円が3月15日に支払われることになる。
事後精算の場合は奇数月にも支払いが行われる。
 
なお、事後精算の支給が3月に間に合わなかった場合は4月15日にその事後精算の3か月分(66,666円×3ヶ月=199,998円)と通常の前2ヶ月分133,332円の合計333,330円の支払いになったりもする。
 
 
というわけで、自己都合退職をすると給付制限期間が発生して、失業手当も年金も支給されない無収入の期間が発生してしまうので、退職する際は計画的に(^-^;
 
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にしても、年金と雇用保険の調整はね…結構実務上は泣かせてくれるんですよ(笑)支払いがもうね、アレだからお客様がよくお怒りになる(;´∀`)
 
 
 
 
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