年金の離婚時分割。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

離婚分割は例えば夫の年金を妻と半分こするわけではなく、厚生年金や共済年金の保険料納付記録を分割する事を言います(厚生年金と共済年金期間があるなら、厚生年金なら年金機構。共済なら共済に分割請求被用者年金一元化後はどっちに請求してもいい。なお、厚生年金基金の代行部分や共済の職域加算も分割対象)。


保険料納付記録とかいうとなんかよくわからないと思いますが、今まで厚生年金保険料払ってきた時の標準報酬月額や標準賞与額の総額を分割するわけです


例えば、サラリーマンとして厚生年金保険料払って、その時の400,000円の標準報酬月額期間が300ヶ月あったら400,000円×300ヶ月=120,000,000円を分け合ったりするわけです。←まあ単純にずっと400,000円にはならないですけどね
。ちょっと賞与も抜かしてますが



離婚分割は、単純に夫の年金が200万で妻が100万だからって、両者仲良く150万円ずつということようなそんな便利なものではありません




標準報酬月額や、標準賞与額が関係してくるから、老齢厚生年金とかの部分(報酬比例の年金)だけが分割対象なので、老齢基礎年金とか定額部分は分割できません


また、保険料納付記録を分割する場合は婚姻している期間の保険料納付記録を分割します。


さっきの数字の400,000円×300ヶ月=120,000,000円の内、婚姻期間が200ヶ月であれば、400,000×200ヶ月=80,000,000円の所を分割します。


この時、妻の婚姻期間中の保険料納付記録が20,000,000円(標準報酬月額100,000円で200ヶ月あった場合)であれば、(年金減らされるほうを第1号改定者という)の80,000,000円(年金増える側を第2号改定者という)の20,000,000円の総額100,000,000円の間でどのくらいの保険料納付記録を分割するのかを決めないといけません。

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この80,000,000円とか20,000,000円とかの、婚姻から離婚までの標準報酬月額とか標準賞与額を再評価したあとの総額の事を対象期間標準報酬総額といいます


で、自由に分割の割合を決める事は出来ますが、下限と上限があり、どんなに分割しても50%まで
そして、下限は20,000,000円÷(80,000,000円➕20,000,000円)=20%。
つまり、100,000,000円の保険料納付記録を20%<a≦50%以内で按分割合を決めなければいけません。
(0.2<a≦0.5と表してもいいです。小数点以下は5位まで)
妻の納付記録を下回らないようになってます。
今まで見た感じ、大抵の人は50%で分割してるみたいですけどね
ホントは按分割合決めた後、改定割合といってさらに計算をしていくんですが、この辺は年金事務所で処理するので特に何かする必要はありません。


さて、離婚分割には二つの分割のやり方があります。
一つは上記のように、夫婦で按分割合を決めて年金分割を行う合意分割(平成19年4月以降の離婚が対象。分割は平成19年3月以前のもできる)。


二つ目は、例えば夫が厚生年金加入してる間、妻が第3号被保険者だった所を、合意云々無しに一方の分割請求で強制的に保険料納付記録を半分こする3号分割があります(平成20年5月1日以降の離婚に限る。年金の本は大抵平成20年4月1日以降の離婚と記載されてますが、離婚した月の前月までを見るから5月1日以降の離婚)。


で、両者とも原則として離婚日の翌日から2年以内に請求をしないといけません


三号分割は強制的に半分こにしますが、合意分割は少し異なるので今回は合意分割のみで


まず合意分割するにあたっては、按分割合がわかんないと話が進まないので、年金分割のための情報通知書を年金事務所に請求します(離婚協議がなかなかまとまらない場合、家庭裁判所を利用する時なんかにも必要になります)。


とりあえず、年金手帳(なければ基礎年金番号のわかるやつがあれば)と戸籍謄本持ってこの通知書を請求してください。
一人で請求した場合、自分にだけに知らせる事になってます。既に離婚してたら両者に通知されます。


提供される内容は、
①第1号改定者と第2号改定者の氏名、生年月日、基礎年金番号。


②情報提供請求日(情報提供を受けた日が離婚が成立した日等より前なら、情報提供を受けた日から1年間は通知書が有効。離婚後なら基本的にずっと有効)


③分割の対象となる婚姻期間(対象期間といいます)


④対象期間における夫婦それぞれの対象期間標準報酬総額。


⑤按分割合の範囲


⑥50歳以上で老齢基礎年金の受給資格期間満たしていれば、希望により見込み額を出してもらえます。

合意分割を請求する時は口約束ではもちろんできません
按分割合を定めた以下のような書類が必要です。
当事者間で合意した時の書類なら、
◯公正証書の謄本もしくは抄録謄本
◯公証人の認証を受けた私署証書

当事者間で合意できないんだったら、
審判(確定審判の謄本または抄本)とか調停(調停調書の謄本または抄本)とか訴訟(確定判決の謄本または抄本)で貰った書類とか


まあ、当事者(代理人でもいい)双方で年金事務所に出向いて、合意の意思が確認できればこういう按分割合を定めた書類は要らないんですが、離婚という結構重大な事だからちゃんとした証明を作っておくべきだとは思いますけどね


あと、離婚分割はいっくら分割してもらっても当然、自分の年金支給開始年齢にならないと支給はされません
また、婚姻から離婚までの期間の保険料納付記録を分割するだけなので、年金をもらうための原則25年には反映されません。自分で年金受給権を満たす必要があります。
ただ、老齢厚生年金を計算する際は対象期間の期間と自分の被保険者期間を使います。




なお、離婚分割により分割した期間が240月になると、再婚後などに配偶者についてた加給年金が停止になったり、自分に付いてる振替加算などがもらえなくなったりするので、気をつける必要があります。