(リンク他、追記)
フィギュアスケート好き、羽生結弦好きとしてこいつは観なけりゃあかんーと勝手に思い込んでいた高山真さん原作小説の映画『エゴイスト』を観た。
他
高山さんのコラムが読めるリンク付きのマイ記事。
映画の公開はおよそ1年前で、今は各種動画配信サイト、してFODでもレンタル配信中でちょうどポイントが溜まっていたのでこちらから鑑賞したのがふぃぎゃファンらしいじゃないかと小さくほくそ笑み。
個人的責務をまっとうしたぞというメモ替わりにざっと所感など。
古今東西、映画には街中を闊歩するシーンというのがよく盛り込まれるが『エゴイスト』にも主人公とその仲間が夜の繁華街をご機嫌に練り歩くシーンがある。明日などもう来ないという様子で一瞬の高揚に文字通りしたたかに酔う。現代人はその殆どが解れぬ緊張の中で働き、プライベートでもそれはなかなか拭い去ることもできないであろうなかでひと時の武装解除が見せる景色が滲みる。
主人公の住むマンションの部屋も徹底した武装の中にあって、ゴージャスなしつらえが仮面武装した主人公の鎧ケースのよう。
この、普段は身のうちに沈んでいる情が、ある青年との出会いで主人公のうちから外へ一気に湧き上がる。そんな情景の一つに流れる歌が「夜へ急ぐ人」。
いやちょっと久しぶりに聴いたぞ。
これを主人公が、やって来た恋に狂いながら自室で大熱唱オンステージするシーンはこの映画の名場面。
様々な情が解放される瞬間、そばに居る人はときに思いもかけぬ相手だったりもする。このことは物語が進むにつれ重要な要素になる。
https://www.youtube.com/watch?v=zCBV9IcSxIk
ぶっちゃけこの歌をメモしたくて記事をかきはじめたようなもの。
画像の粗さが情と念の増幅に効果抜群。
しかも、マンションのとある壁面にはファインアートのタペストリーがかけられていてかかる曲はこちら。チャイコフスキーの「悲愴」。
フィギュアスケートにも造詣の深い高山さんの知性をよく現す曲。
スクリャービンの「悲愴」ではないけれど、高山真さんが羽生結弦を好きな理由に、「悲愴」と「夜へ急ぐ人」があるだけで充分な気がした。
この2つの挿入歌にすっかりあてられている一方で物語はドキュメンタリーのようにリアルの狂気はうちに潜められ説明も殆どなく進み、まろい優しさが滲む。
終わってみると、Sometimes It Snows in April
「4月に雪の降ることもある」
この曲を聴き終えた様な錯覚に陥る。
雪は触れると冷たい。
そんでも陽気はうららかだ。
なんとなく、高山真さんはメンターとして羽生結弦と同類の人だと思った。
少なくとも競技者としての羽生結弦は夜へ急ぐエゴイストだった。
「読んだ前と後とでは、読者の皆さんの目に映る景色、世界が少しだけ、それもポジティブな方向に変わっている…。そんなものを書きたい」
高山さんのこうした心得は、映画の原作小説を読んでいないにも関わらず映像を通しても体感出来る。
高山さんに『gift』を観て欲しかったなぁ・・
(更に追記)
以下は、もし映画をご覧になられた方がおりましたら、その後にでもどぞ。
映画にも出演されているドリアン・ロロブリジータさんが高山真さんを語る。
お馴染み、外国特派員協会の記者会見。
映画について、LGBTQ+などにまつわる用語の使用など、正しく使用されるよう理解を求め書面も用意されていた。
この映画は「クィア映画」としての位置付けで広報も行っているとのことで今後拙宅でも慣います。
鈴木亮平さんが語学に堪能なのは存じていたのですが宮沢氷魚さんはほぼネイティブのバイリンガルですね。
また鈴木亮平さんは高山さんの大学の後輩にもあたるんですね。
ご自分が大学の後輩であることはどこにも触れず慎み深い。
たくさん関連記事は出ていますがいくつか。
巡っているうちに自然と思い耽ったりでき勉強になりました。
比較的自分は、「そういうもん」として気づけば受け容れていたので、後追いで「そうなのかぁ」と感じるところが多いのですが、こうした感覚に育った家庭に感謝です。